重量挙げの世界選手権第2日は29日、米アナハイムで行われ、男子62キロ級で昨年のリオデジャネイロ五輪4位で26歳の糸数陽一(沖縄・豊見城高―日大―警視庁)がスナッチ134キロ、ジャーク165キロのトータル299キロで銀メダルに輝いた。日本協会によると、日本の男子選手が世界選手権でメダルを獲得するのは1981年以来36年ぶり。
糸数の銀メダルに対し沖縄県内の関係者は「世界2位は意義がある」「メダル獲得は快挙」などと一斉に称賛した。日本の男子選手では表彰台は36年ぶりとあり「2020年の東京五輪で日本の救世主になる」と期待がさらに高まった。
久高中時代から練習を見て、豊見城高校でも指導した県ウエイトリフティング協会顧問の大湾朝民さん(糸満市)は、大会に臨む糸数を「メダルを取らないと意味がないぞ」と激励したという。「リオ五輪で日本新をマークして少し安心している様子も見えた。メダル獲得には駆け引きも重要になるため、しっかり気持ちでも負けずにメダルを目指すように声を掛けた」と話し、「期待していた結果でうれしい」と話した。
糸数が豊見城高の2、3年時に指導した金城政博さん(石川県・御幸中学教諭)は「ロンドン五輪は代表から漏れ、悔しい思いをした。しかし逆境から立ち上がり、リオ五輪で4位、世界選手権で2位と、悔しさをばねに逆境から立ち上がることができる選手だ」とたたえた。
県ウエイトリフティング協会の川畑勉会長はネット中継で大会結果を確認した。「非常にうれしい。日々の努力を継続して行っている証拠だ。(県のリフティング界も)盛り上がってくる」と大舞台での活躍を喜んだ。
五輪や世界選手権を経験した県内先輩らも銀メダルに興奮した。
1983年の世界選手権男子67・5キロ級12位、84年のロス五輪で同級5位に入った県ウエイトリフティング協会の平良朝治副会長は「お疲れ、そしておめでとうと言いたい」と第一声で、糸数の奮闘をたたえた。「謙虚な性格で、真面目に地道に努力していたことがこの結果に結びついた。東京五輪に向け、計画的に調整してほしい」と期待した。
1996年のアトランタ、2000年シドニーと2大会連続で五輪に出場し、1997年の世界選手権で男子108キロ級5位の吉本久也さん(東村役場)は「メダルの重みは大きい。日本男子の救世主となり、他選手へも効果を生むはずだ」と偉業を強調した。
シドニー五輪女子53キロ級7位、1999年世界選手権同級5位の実績を持つ平良真理さん(沖縄工高校教諭)は「本当に快挙。沖縄県から全国、世界レベルの選手へと育っていった。とても感慨深い。まだ通過点だと思うので、東京五輪に向けて進化してほしい」と興奮した様子で話した。