「園庭で遊ばせたい」保護者ら、涙で要請 米軍部品落下


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍ヘリ部品落下問題で、沖縄県や県議会に保育園上空の飛行禁止などを要請した保護者らは「1歳児で重大さを理解していないと思ったのに記憶に残っているのを見て震えた」「ただ単純に園庭で遊ばせたいだけ」などと「安全な空」の回復への思いを涙ながらに切々と語った。

 「お母さん、ドーン、ドーン」。宜野湾市新城に住む知念涼子さんは初め、まだ言葉も話し始めの1歳の下の娘が、何のことを話しているのか分からなかった。11日午後9時半ごろ、米軍普天間飛行場に近い自宅で、ヘリらしい米軍機が飛んでいる音が聞こえていた。「『ドーン』だと航空機の音とは違うし」

 そこではっと気付いた。保育園でヘリが通過した後に響いたと聞かされた「ドーン」という衝撃音。「あれだ」。知念さんは「1歳児なのに分かるのかと思った。音がイメージとして残っているのか、1歳児でも記憶に残っているんだと思うとショックだった」と話し、わが子の心に傷が残らないようにと祈っている。

 5歳児の娘を保育園に預けている知念有希子さん(39)は、事故で日常が一転したことを痛感した。空からは部品ではなく雨が降るもの。そんな当たり前の日常を求め「(部品を)落としたか、落としてないか、正直どうでもいい。水掛け論になるだけ。ただ子どもが外で遊んで何事もないことだけが親の願い」と訴えた。

 2歳の子を通わせている母親は「落下物があったという一報の連絡を保育園からメールで受けた時、震えで涙が止まらなかった」と目に涙を浮かべて当時の不安を語った。別の母親も「基地があることは怖いことだとは思っていたが、当事者になって初めて分かることがある。米軍の人は自分の子が同じ経験したらどう思うのか、考えてほしい」と語った。

 要請を終えた父母会会長の宮城智子さん(48)は「副知事、議長共に米軍の説明には納得いかないと言っており、私たちと同じ気持ちだったので心強い」と述べた。