沖縄県宜野湾市の小学校運動場に米軍大型輸送ヘリコプターCH53Eから窓が落下した事故を受け、日米両政府は同市内の幼小中高大学(28校)の上空を「最大限、飛行しない」と説明したが、米軍機の学校上空飛行を確認する体制は整っていない。
防衛省沖縄防衛局の飛行監視は13日に事故が発生する前のままで、事故があった普天間第二小学校をはじめ市内の対象学校上空の飛行を確認できる体制にはなっていない。防衛局も取材に対し「すべての対象学校の上空飛行の有無を確認することは難しい」と、不十分な体制であることを認めている。
現状では飛行経路の逸脱があっても米軍側に即座に改善を求めることができない。これまで同様、経路逸脱を黙認するだけでなく、事故再発の危険性が残ったままだ。
防衛局が現在実施している米軍機飛行の確認体制は、米軍普天間飛行場周辺の宜野湾市内4カ所(大謝名、喜友名、宜野湾、新城)にカメラを、嘉数高台(日中のみ)と喜友名(24時間)に人を配置し目視している。北谷町美浜には航跡観測装置がある。
これは2010年から実施する航路調査と、ことし4月からの普天間飛行場の離着陸回数調査のためのもので、窓落下事故後も同体制のままだ。
小野寺五典防衛相は飛行再開に際し記者会見で「基本的に学校上空は飛ばないと認識している」(19日)と述べ、市内28校の上空は飛行しないと強調した。しかし、飛行を再開した19日にCH53やAH1が普天間第二小上空を飛行するのを本紙記者が確認している。
防衛局はこの件について「飛行したとの連絡は受けていない」と述べた。さらに防衛局は19~22日までの対象校の上空飛行についても同じ回答をした。連絡の有無を答えているにすぎず、上空飛行の有無は断言していない。
事故後、防衛局は普天間第二小に飛行状況を確認するためのカメラ設置を提案しているが、24日時点で設置は未定だ。
また窓落下事故の6日前の米軍ヘリ部品落下の現場となった宜野湾市内の緑ヶ丘保育園は今回の「学校上空飛行禁止」の対象にはなっていない。
(仲井間郁江)