長田紀春さん死去 沖縄陸軍病院の軍医 97歳


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 沖縄戦当時、沖縄陸軍病院の第3外科で軍医見習士官として負傷者の治療に当たった長田紀春(ながた・きしゅん)さんが22日午後11時40分、老衰のため那覇市内の施設で死去した。97歳。那覇市上之蔵町出身。告別式は25日午後2時から同45分、那覇市銘苅3の22、サンレー那覇北紫雲閣で執り行われる。喪主は長男紀勝(きしょう)氏。

 長田さんは戦前、軍医見習士官として従事。戦後は自らの悲惨な戦争体験を語り継ぐなどの平和活動を積極的に行い、同じ第3外科で看護婦長として負傷者の治療に当たった故具志八重さんとともに生存者の証言を集め出版した。

 2007年の沖縄陸軍病院南風原壕群の一般公開にも尽力した。沖縄陸軍病院慰霊会の会長を務め、慰霊祭を執り行ってきた。

 戦後は小児科医として小児医療・保健に携わり、沖縄の戦中戦後の混乱時に地域医療に貢献した。

 特に感染症をはじめとする小児疾病治療に精力を傾け、育児健康知識の普及や学童の健康管理に尽力した。2001年には、地域の医療活動に貢献した医師に贈られる第8回「ノバルティス地域医療賞」に選ばれた。