芸能・文化

『沖縄フェイク(偽)の見破り方』 愚直に「虚構」を覆す

『沖縄フェイク(偽)の見破り方』琉球新報社編集局編 高文研・1620円

 日本人による沖縄への認識はフェイクに満ちている。南の楽園幻想も「基地で食っている」という思い込みも等しくフェイクだ。歴史的に最も犠牲を強いてきた沖縄を、フェイクで塗り固めた言説で二重に支配をしてきた。沖縄の「負担」そのものがフェイクだ、と開き直る。しかしこの数々の誤認が負担を強いている日本人をホッとさせてしまうので、実に根が深い。真実は人の数だけあるが、事実は一つしかない。沖縄が直面させられている事実を一つ一つフェイクから救い出し、読者が沖縄について考える前提を明示することが本書の目的だ。

 フェイクを何十回、何百回でも伝わるまで否定し続けること。沖縄県民とメディアが訴えを止める日は来ない。国民の99%に向け「事実を誤認した上で、差別しているのはあなたです」と沖縄側が告発することは、どれだけの恐怖心と覚悟を伴うのか、について本土のわれわれは何度でも想像してみる必要があるだろう。

 各章に書かれている事実、その背景にある歴史、県民の思いを私は2015年1月まで、1年3カ月の沖縄滞在で少しずつ学んだ。日本人としてのわが身を省みる苦しい月日だった。そして今、本書を読む時間も実に苦しい。この苦しさから解放されたい、と沖縄について考える度に思う。方法は一つしかない。具体的に差別状況を変えることだ。

 今年春に高橋哲哉東大大学院教授らと立ち上げた東京での引き取り運動のシンポジウムには毎回100人以上が席を埋めている。反戦平和や日米安保破棄を唱えるだけでは沖縄問題が解決しないことに気付き始めた人たちが顔を出す。

 叫びを受け止めた日本人一人一人が少しずつ束になり大きな力を生むためには、フェイクを事実に塗り替える地道な作業の繰り返しが必要だ。18年も大阪、福岡、東京に続く地域からの声が上がるはずだ。事実を正確に認識したら、あとは行動するしかない。

 「愚直に根気強く、虚構を一つ一つ覆したい」という普久原均編集局長による前書きの言葉を受け、本土にいるわれわれがその意志をどこまで共有、実践できるかが試されている。

(初沢亜利・写真家)

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 りゅうきゅうしんぽうしゃ 1893年創刊。各種のスクープ、キャンペーン報道で、4度の日本新聞協会賞のほか、日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞、新聞労連ジャーナリズム大賞など多数の受賞記事を生んでいる。 

 

これだけは知っておきたい 沖縄フェイク(偽)の見破り方
琉球新報社編集局編著
四六判 192頁

¥1,500(税抜き)
 


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