琉球舞踊の世界に魅せられ、鹿児島市で幼少期から13年にわたって琉舞の研さんを重ねてきた3姉妹がいる。玉城流翔節会(沖縄県那覇市、玉城節子家元)に所属する是枝(これえだ)美桜(みおう)さん(23)=会社員、風遥(ふよう)さん(21)=同、莉和(りおん)さん(18)=高校3年=だ。
昨年8月の第52回琉球古典芸能コンクール(琉球新報社主催)の舞踊部門で、美桜さんと風遥さんが最高賞、莉和さんが優秀賞に輝いた。「知らないことがまだたくさんある。一から学び直す気持ちで頑張りたい」と3人は意欲を示す。「薩摩」の地に根を下ろしながら「琉球」の古典芸能の高みを極めるつもりだ。
琉球弧の芸能に初めて触れたのは2001年に父親の転勤で引っ越した徳之島だ。奄美民謡を習い、そこで琉舞にも出合う。鹿児島市に戻った後、3人は琉舞を本格的に習い始める。
04年4月から指導を受けているのが市内在住で翔節会に所属する与論島出身の芸歴48年・竹内エミ子さん(76)だ。週に一度の午後6時から9時までの3時間、市内の公共施設で練習を重ねてきた。この13年間、3人は練習を一度も欠かしたことがない。
なぜ、そこまで琉舞に打ち込んできたのかを問うと「ただ踊りが好きなだけ」と口をそろえる。竹内さんは「この子たちはとても素直だ。言われたことを一生懸命に理解しようとする。それを踊りで精いっぱい表現してきた」と説明する。
翔節会には会訓がある。「素直・謙虚・感謝」だ。竹内さんは3姉妹が会訓を体得してきたと力説する。その成果として美桜さんと風遥さんは新人、優秀、最高の各部門、莉和さんは新人、優秀の両部門を全て一度で合格している。
今回のコンクールで美桜さんと風遥さんが2人で踊ったのが「高平良万歳(たかでーらまんざい)」。設定は組踊「万歳敵討」の旅芸人になりすまして敵に近づき、父のあだを討つ兄弟だ。実の姉妹で舞うのは珍しいと絶賛された。
莉和さんが踊ったのは「下り口節(くだいくどぅち)」。首里王府の役人が薩摩での任務を終えて帰る道中を描いた二才踊(にーせーうどぅい)だ。杖(ちーぐーし)を持って切れのある踊りを披露した莉和さんに「首里の青年に見えた」との感想も漏れた。
美桜さんは「竹内先生、沖縄の先生の支援に感謝している」、風遥さんは「これからも勉強を続けたい」、莉和さんは「最高賞を取れるよう頑張りたい」と決意を話した。(松永勝利)