出会いの瞬間、31文字に 知花くららさん 短歌の魅力、対談本を出版


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知花くららさん

 那覇市出身のモデルで女優の知花くららさん(35)が、歌人の永田和宏さんと対談した本「あなたと短歌」(朝日新聞出版)が出版される。短歌を始めて約5年の知花さんが、初心者の目線で短歌の楽しさや奥深さ、基本的な技術などについて永田さんとやりとりする内容で、短歌の魅力をたっぷり、分かりやすく伝えている。知花さんは「短歌というと敷居が高いようにいわれるが、そうではないことを読者の皆さんに感じてほしい」と話す。本は全国の書店に4日から並び始める予定。

 国連世界食糧計画(WFP)日本大使としてアフリカやアジアなど食糧難の地域を回ってきた知花さん。カメラを携えてきたが、言葉でも「母親や子たちとの出会いの瞬間を記録し、表現したい」との思いもある。

 「見たり感じたりしたことを表現するのは、瞬間を捉えた感覚があり、すごく楽しい」と声を弾ませる。日常の流れの中で普段は忘れ去られてしまうような心の機微を記録に残せることが魅力だと語る。しかし31文字に全ては詰め込めない。「本当に言いたいこと」を表現する“言葉探し”も魅力に感じている。相手の感じることを知り合える「コミュニケーションツール」でもあるという。短歌を始めて以来、さまざまなことに興味を持ち、細部を感じるようになった。

 本では自身が詠んだ歌も紹介している。中には沖縄での体験も。「じんべえざめと吾を隔つ濃紺の窓の厚みは60センチなり」。沖縄についての歌を詠む際は「家族や暮らしの経験がおのずと出てくる」と話す。

 昨年10月に結婚を発表した。今後は「家族の歌、子どもができたら子どもの歌も増えると思う。それが楽しみ」と笑顔を見せた。自身の歌集を出す希望もある。
 本は、知花さんと永田さんが2015~16年までに対談し「週刊朝日」に連載された記事をまとめたものだが、記事に掲載されなかった内容も採録されているという。253ページ。1620円(税込み)。