グローバル化の進展に伴い、伝統芸能や音楽、文化、ビジネスなど世界各地で県出身者や県系人の活躍がますます広がっている。「第6回世界のウチナーンチュ大会」閉会式で制定された10月30日の「世界のウチナーンチュの日」では県人会などが新たな取り組みを行うなどウチナーネットワークの輪も拡大している。沖縄と世界とをつなぐ懸け橋として、海外のウチナーンチュの話題や動向を発信する琉球新報海外通信員に、新年の抱負や決意を寄せてもらった。
通信員活動が20年に
当銘貞夫 ロサンゼルス
通信員になり今年は20年の節目となる。「意欲的でありたい」「若者世代の記事を中心に書く」という信念に変わりはない。相変わらず週末はほとんど取材のために費やしている。
池上彰さんの「新聞勉強術」という本に「テレビにしても雑誌にしてもインターネットにしても、記事の最初の出どころは新聞という場合が多い。もう新聞の時代ではないという声も聞かれるが、むしろそんな時代だからこそ果たす役割は大きくなる」とのフレーズにとても勇気づけられた。
ロサンゼルス地域には40都道府県の県人会が設立されているが、地方紙が通信員システムを持続しているのは沖縄県だけだ。それだけ県民は海外へ雄飛していったパイオニアとその子孫らの活躍を大切に見守っているゆえんと思い、心底誇りに思う。斬新な紙面制作の一員となれるよう興味深い記事・コラムの執筆のために全力を投球したい。
沖縄プラザ完成の年
比嘉具志堅華絵 ハワイ
ハイタイ、アローハ!今年は、ハワイ沖縄連合会にとって「ハワイ沖縄プラザ」の完成という、めでたい年になりそうである。沖縄文化を次世代につなぐハワイの取り組みにフォーカスし、皆さんと共有できればと思っている。
自身にとって今年は、引き続き「挑戦」の年になりそうだ。ハワイ沖縄連合会の日本語秘書を担当する。まだまだ苦手意識が抜けない通訳の仕事だが、いっぱい失敗し、いっぱい恥をかきながら、場数を踏んで成長していきたい。今年の年明けに、資格試験の短期合格を目指す人のための勉強法「spicestudy.com」を公開した。今年は資格取得に挑戦する人の勉強が少し楽しくなるお手伝いができればと思っている。
2018年が皆さんにとって、ワクワクで溢(あふ)れる1年になりますように。今年も、どうぞよろしくお願いします。
興味深い話題届ける
鈴木多美子 バージニア・ワシントンDC
去年からオーガニックファームで農作業のボランティアを始めた。今年も楽しみながら続けたい。そのファームは、貧しさを余儀なくされファストフードしか食べられない家族のために新鮮な有機野菜を提供することを目的に多くのボランティアの力で成り立っている。米国の貧しい食事情は深刻だ。今年はそれをテーマに沖縄にも波及する食の問題にも言及したい。
旅づいた昨年。米国内の観光地を散策するとついつい観光立県をアピールする沖縄と比較してしまう。今年もその思いをしたため、米国の興味深い話題が届けられたらと思う。
昨年、第1回ウチナンチュの日をワシントンDC沖縄会は、5カ所で行い、それぞれ思考を凝らしたプログラムで盛り上がった。来春にはワシントンDC沖縄会創立35周年記念祝賀会が行われる。それに関わる県人らの話題も提供していきたい。
NYのちむぐくるを
比嘉良治 ニューヨーク
いいそうぐぁちでーびる。アメリカをはじめ多くの国が大きく揺れた2017年だった。新年もさらに地球の軸が、地球の軌道が狂うほどの変化が起きてもおかしくない不安さえ感じる。逆にいえば人類に大きな希望が湧き起こる年ともなりそうである。
この時勢に社会の一人一人が目を開き、奥の奥まで見抜くことと、思考回路を酷使し地球人全体の未来をも分析すべく時代の波を感じる。
唇に歌を、心に太陽を、ぬちどぅ宝のうちな~魂こそ地球を支える時代ではないだろうか。
ニューヨークは人類のるつぼと称されているように良しもあしきもが凝縮された都市である。ここでは沖縄にルーツを持つ人や沖縄が好きで自らをウチナーンチュと称する人々が元気に活躍している。今年は強く優しい「ぬちむぐくる」を紹介したいと思う。
大雪のNYより
県系人各組織で活躍
赤嶺光弘 ペルー
2018年1月6日に、ペルー沖縄県人会の新役員就任式が開催される。ルイス・アルトウーロ・ヤラ会長に代わり、新会長にはマリア・ルイサ・コハツ氏(西原町系)が就任する。県人会創立以来初の女性会長が誕生することになる。7日には、ペルー日系人の新年会が県人会館・西銘順治大ホールで新会長の下、開催される。
現在、ペルー日系人社会の中枢機関である日系人協会の会長にはホルへ・クニガミ氏(八重瀬町系)が就任しており、日系婦人会会長には11月に就任したグロリア・アキコ・アカミネ氏(うるま市系)が就いており両団体とも県系人が要職に就いている。国会でもフジモリ政権時代にテロ組織を撲滅し手腕を買われた、マルコ・ミヤシロ元将軍(浦添市系)が活躍している。今後も、県系人社会の動きなどをお伝えしていきたいので、愛読のほど、よろしくお願いします。
欧州は極右勢力台頭
仲宗根雅則 イタリア
トランプ米大統領の誕生に呼応して、欧州にはポピュリストや極右勢力が台頭している。最も象徴的なものはドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」。昨年9月の総選挙では一気に94議席を獲得し第3党に躍り出た。ドイツ総選挙の驚きの結果は、トランプ米大統領の信条と同じ排外差別不寛容主義が無視できない力を維持し、今後の風向きによっては大きく燃え上がる可能性を示している。
3月に総選挙が行われるイタリアでもポピュリズム政党と極右政党が強い勢力を維持。世界はどちらかといえば軍靴の響きが増幅する方に向かいつつある。
そんな世界の中で沖縄の米軍基地の行方はどうなるか、とあえて考えると見通しは暗い。沖縄基地は本質的に国内問題とはいえ、世界が平和でなければ基地撤去の可能性は高まらない。残念ながら今年も沖縄の試練をやきもきしながら遠くで見つめる時間が続きそうである。