認可保育所の入所選考で在園児が新年度に継続入所を希望する際に、新規申込者と横並びで再選考する「在園児選考」制度によって、2017年度に継続入所できなかった在園児が沖縄県内の3市町で31人いた。入所の優先順位が新規申込者より低くなったため在園児が継続入所できなくなった。
専門家らは全国では同様の事例を「聞いたことがない」としている。沖縄特有の「在園児選考」の背景には認可保育所の不足がある。年度が替わるたび選考のふるいにかけられる保護者にとって不安は大きい。
本紙が昨年10月1日時点の速報値で待機児童がいた28市町村を対象に聞き取りした。
保護者の就労状況や生活実態など、保育に関する要件に変更がなくても新規申込者と同列での選考を実施したのは17年度、10市町村あった。そのうち豊見城市、嘉手納町、八重瀬町3市町で継続入所できなかった児童がいた。
18年度は8自治体で在園児の再選考を予定している。入所者の選考の指数となる基準点で在園児の優先度を確保する「加算」を設けている自治体もある。
実際に退園せざるを得なかった在園児が21人いた八重瀬町は「第2、3希望の保育所や空きのある保育所を案内し、全員が別の認可保育所に転園した」と説明している。
嘉手納町の該当者5人は3~5歳で、4人は町内の幼稚園に、1人は近隣自治体の幼稚園に入園したという。豊見城市は認可外への転園と祖父母による保育のほか、3人は追加申請がなく退所後の状況が確認できないとした。同市は次年度から再選考を行わず、保育要件を満たしている在園児の継続入所を優先する方針に変えた。
「在園児選考」は、保育の必要性の高い人を優先して入所させるのが目的だ。しかし、在園児が通い慣れた保育所から退園や転園を迫られることになり、行き先が見つからなければ新たな待機児童となる可能性もある。