鉄軌道推奨ルート決定 北谷、沖縄市など経由 県検討委


この記事を書いた人 大森 茂夫

 沖縄本島への鉄軌道導入に向け、県が設置した有識者による「沖縄鉄軌道計画検討委員会」(委員長・森地茂東京大名誉教授)が18日、県庁で開かれ、七つの経路案のうちから「推奨ルート」を絞り込んだ。「C派生案」と呼ばれる推奨ルートは那覇市から浦添市、宜野湾市、北谷町、沖縄市、うるま市、恩納村を経由して名護市に至る。

 委員会は2月上旬からC派生案に関する意見公募を実施した上で「構想段階における計画書(案)」を知事に提出し、知事は早ければ年度内に県計画を決定する。

 委員会は推奨ルートの決定に当たって(1)利便性(2)採算性(3)予想される事業費と建設期間(4)施工性と環境への影響-を主な判断材料とした。その結果、「C派生案」の総合的評価が最も高かった。

 委員会の検討によると「C派生案」は、国などの公共予算で整備し、鉄道会社は運行に専念する「上下分離方式」を採用した場合、開業後30年で黒字化が可能となる見通し。

 事業費は約6100億円で、最も安い案(最短ルート)と比べると約900億円高いが、極端に高額ではなく、工法の工夫で事業費の縮減も期待できるとした。その上で、この経路の採用で需要を取り込める地域の広さや乗客数を勘案した場合、最良の選択肢だと判断した。

 委員会は基幹線から分かれる支線「フィーダー交通」の整備にも併せて取り組む必要があるとした。その上で「既存の路線バスが地域と主要施設などを結んでいることから、主に路線バスの活用が想定される」とした。次世代型路面電車(LRT)やバス高速輸送システム(BRT)など、新たなシステムの導入は「構想段階の終了後、市町村や既存の交通事業者などと共同で検討する」とした。