名護市長選 事前運動が過熱 公選法抵触恐れ 撤去、警告も改善されず


この記事を書いた人 大森 茂夫
違法掲示物がないかパトロールをする名護署と、道路管理者の県北部土木事務所の職員=11日、名護市(画像を一部加工しています)

 現職の稲嶺進さん(72)と前市議の渡具知武豊さん(56)が出馬表明している名護市長選で、28日の告示を前に、市内では公職選挙法に抵触する恐れのある活動が散見される。両陣営がハンドマイクで候補者名を強調したり、のぼりなどの違法掲示物が乱立していたりしており、市民から苦情が出ている。市選挙管理委員会や名護署などが両陣営に違法掲示物の撤去命令や警告をしているが、撤去後に新たな掲示物が貼られるなど「いたちごっこ」の状況が続いている。

 公選法では告示前や任期満了の6カ月前からは、候補者名や候補者名が推測される事項の掲示は禁止される。政治活動用の街宣車から候補者名を連呼する行為なども事前運動として法に抵触する。

 市選管は昨年11月から両陣営の関係事務所に違法掲示物の禁止を通知する文書を送付。改善されない陣営には昨年12月、撤去命令の文書を出した。名護署は23日までに事前運動や違法掲示物52件に警告を行った。

 市選管や名護署には、市民から「私有地に勝手にのぼりが立てられている」「演説がうるさい」「電柱にポスターが貼られ見通しが悪い」などの苦情が寄せられている。市選管には1日10件以上の電話があるという。

 市選管の宮城次夫委員長は両陣営に「公選法を順守して明るい選挙を実施するよう協力を求めたい」と呼び掛けた。稲嶺さんの陣営は「会議で共有し撤去を進めている」とし、渡具知さんの陣営は「重く受け止め改善を続けていきたい」とした。