慰霊の場所に「ごみ、ごみ、ごみ」 糸満市摩文仁の不法ごみ回収


この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治
土の中から出てきた空き缶や弁当容器など大量のごみ=28日、沖縄県糸満市摩文仁

 沖縄県糸満市摩文仁の国立沖縄戦没者墓苑裏の斜面一帯に不法投棄されたごみが山積している問題で、県が募ったボランティアら計366人が27、28日の2日間、ごみの回収を行った。数十年前の空き缶や弁当容器などが大量に集まったほか、水筒など沖縄戦の遺留品も見つかった。行政主導のごみ回収作業は初めてで、遺骨収集に携わる人らは継続的な取り組みを期待している。

 ごみは崖下の斜面にあり、東西約500メートルに及ぶ。県は7カ所を確認しており、今回は2カ所で回収作業を実施した。沖縄宗教者の会や県平和祈念財団、陸上自衛隊らが参加した。

 「ごみ、ごみ、ごみ、ごみ。こりゃあ、ごみだらけだ」。地面をスコップで掘り返しながら、参加者が驚きの声を上げた。空き缶や瓶、タイヤ、車のバッテリー…。不法投棄されたごみが地中から次々と現れ、それらを入れた土のう袋も積み上がっていった。

 参加者はバケツリレーの要領で袋を運び、可燃と不燃ごみに分別した。さびた水筒や飯ごうのふた、刀、銃など沖縄戦の遺留品も交じっていた。集まった袋は計1068に上った。

 40年以上前から遺骨収集に取り組み、有志でごみを回収してきた沖縄宗教者の会の林雅信さん(78)=那覇市=は「摩文仁は沖縄戦の聖地で、まだ遺骨が眠っていると思う。県主導でごみの回収が行われたのは大きな一歩だ。ぜひ続けてほしい」と話した。

 県は2018年度、摩文仁一帯のごみの埋蔵量調査を検討している。