描く喜び 感謝の個展 全身まひの鉢嶺さん、仲間に支えられ あすから浦添美術館


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口に絵筆をくわえ、水彩画を描く鉢嶺克治さん

 【名護】全身まひの障がいがあり、絵筆を口でくわえて水彩画を描く鉢嶺克治さん(46)=沖縄県名護市=の個展が、2月1日から浦添市美術館で開催される。鉢嶺さんがこれまで描いてきた全作品約90点を展示する予定だ。「家族や周りの人が支えてくれたおかけで、こうして絵を描くことができる。感謝の気持ちを伝えたい」と話す。

 鉢嶺さんは20歳の時、交通事故で頸椎(けいつい)を損傷し、体が自由に動かない。絵筆を口にくわえて描く水彩画は、1枚を描くのに約1カ月かかるという。個展を開くのは4年ぶり2度目。2007年から毎年作っているカレンダーの原画をはじめ、創作活動の足跡を展示する。桜やガジュマルといった名護の風景や沖縄をテーマに描いた作品が多い。

 「自分が熱中できることを持って続けること、挑戦することが大事。絵を見て何か感じてもらえるとうれしい。これまで絵を描いてこられた感謝の気持ちを、家族や周りの人たちに伝えたい」と語った。

 今回は、ともに障がいがあり、生活介護支援事業所「とらいあんぐる」に通所する仲間が実行委員となり、個展開催を支える。

 

鉢嶺さん(左)と、実行委員長を務める嘉陽大介さん(中央)、玉城良太さん=22日、名護市

共同で実行委員長を務め、車いすで準備に奔走するのは、嘉陽大介さん(25)と玉城良太さん(32)。嘉陽さんは「口でここまで絵を描けるのはすごい。実行委員は結構大変だけど、楽しくできたらいいと思う」と話した。玉城さんは「協力できてうれしい」と笑顔を見せた。

 鉢嶺さんの水彩画展は4日まで。入場無料。問い合わせは(電話)0980(58)1258(とらいあんぐる)。