首相「本土の理解得られぬ」 沖縄基地移設巡り答弁


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
 安倍晋三首相

 安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、沖縄の基地負担軽減について「日米間の調整が難航したり、移設先となる本土の理解が得られないなど、さまざまな事情で目に見える成果が出なかったのが事実だ」との認識を示した。安倍首相が米軍普天間飛行場など在沖縄基地の県内移設の理由に「本土の理解が得られない」ことを挙げたのは初めて。

 政府による沖縄の基地負担軽減策のほとんどが基地の県内移設を伴う。防衛省などはこれまで県内移設は沖縄の地理的位置など軍事上の理由としてきたが、安倍首相は本土の抵抗による受け入れ困難性を挙げたことになる。

 首相は普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「最高裁判所の判決に従って実行していきたい」とも改めて強調した。

 立憲民主党の阿部知子氏の質問に答えた。首相は2012年の政権交代後、日米間で嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画について合意したことや、昨年に普天間飛行場東側の土地約4ヘクタールを返還させたことなどを挙げ「今後も負担軽減に取り組んでいく」と語った。

 予算委で阿部氏は、相次ぐ米軍機のトラブルに関連して、政府が飛行停止を求めたにもかかわらず、米軍が飛行を再開した点を指摘。首相は、重大事故の際は飛行停止を求めているとした上で「(日米で)意見の齟齬(そご)があるのは事実だ。今後、飛行再開に際して自衛隊の専門的知見も活用し、わが国として合理性を判断したい」と答えた。

 また、日米合同委員会の協議内容が明らかにされていないとして阿部氏が公表を求めたのに対し、河野太郎外相は「合意事項、議事録は日米双方の同意がなければ公表されないというのが政府の方針だ」と説明した。