米軍普天間飛行場の移設先とされる沖縄県名護市辺野古の新基地建設予定の海底に活断層がある可能性が指摘されている問題で、地質学などの専門家3氏を招いたシンポジウムが14日、那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれた。立石雅昭新潟大学名誉教授(地質学)は、米国カリフォルニア州やニュージーランド、徳島県などでは法律や条例で活断層の直上、周囲に建物の建設を禁止・制限している事例を紹介し、県内での条例制定を提案した。シンポジウムは、辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議が主催し約200人以上が来場した。
立石氏は、西日本を縦断する断層帯「中央構造線」の上に立地する徳島県では、構造線上に多数の人が利用する建築物や危険物を貯蔵する施設を建設できないとする条例が2012年から施行されていると紹介。また、国内の原発建設でも、建設時は活断層の存在を否定し、その後地震など問題が発生した後に活断層の存在を明らかにするという、危険性を過小評価する体質が続いてきたと指摘した。立石氏は「辺野古弾薬庫地区を見たが、断層によってできたと推測される崖が見事に発達していた。なぜこんな場所に弾薬庫を作ったのか不思議でたまらない」とも指摘した。
加藤祐三琉球大名誉教授(岩石学)は、政府が既存の文献2冊を根拠に、辺野古の活断層の存在を否定していることについて「当該2冊の文献には断層の長さなど掲載基準がある。辺野古の2本がその基準に満たないだけであり、それだけで『活断層ではない』と否定することはできない」と指摘した。そのほか目崎茂和三重大名誉教授が大浦湾のサンゴ礁の貴重さについて報告した。