肉もカレーもコーヒーも! 〝看板メニュー〟を互いにデリ 沖縄市「諸見百軒通り」近くの8店


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連携して地域を盛り上げる各店の店主たち=1日、沖縄市園田の諸見百軒通り入口

 【沖縄】地域を再興するため、近隣に立地する飲食店同士が連携したユニークな取り組みが始まっている。仕掛けるのは、老舗スナックの看板が並ぶ「諸見百軒通り」(沖縄市園田)かいわいにある“若手”飲食店8店。お互いの看板メニューを各店舗で注文でき、配達し合うサービスを昨年12月に始めた。発案者の一人で、カフェ&バル「パッソ」の店主・友利秀和さん(35)は「それぞれの店の強みを生かしながら、地域を盛り上げたい」と熱っぽく語る。

 以前から「地域を活性化させたい」と語り合っていた店主ら。昨年11月末、いつものように共に杯を傾けていた時、肉料理「琉球CHOP」のオーナー・山本浩平さん(38)が配達サービスを提案し、すぐに実行に移した。配達メニューにはそれぞれ自慢の一品を掲載する。百軒通りを含め、各店が立地する地域を「諸見百軒横丁」と名付け、地域の常連を増やすことを目指す。料理は肉料理、麺類、カレーなど多彩だ。

各店に置いている配達サービスのチラシ

 ビストロ酒場「ブルボン」の砂川恵太さん(28)は「『他の店で見ましたよ』と言って来るお客さんもいる。各店それぞれ個性があるし、地域がコンパクトだから“ハシゴ”もできる」と効果を実感している。

 以前は多くの人でにぎわったが、人通りや店舗数が徐々に減り、いつからか店主や客層が高齢化した「年金通り」と揶揄(やゆ)されるようになった諸見百軒通り。通り会書記の喜友名朝清さん(75)は「若い人の店が増え、今年は通り会の新年会も盛り上がった。地域のこれからが楽しみだ」と声を弾ませる。

 今後も各店で飲食しながら街歩きをするイベント「バルウォーク」などさまざまな仕掛けを模索する店主たち。通り周辺で育った友利さんは「この地域に愛着がある。通りに来る人を増やしたい」と力を込める。地域のにぎわい復活へ店主ら一丸で挑んでいる。
(長嶺真輝)