【ハワイ】沖縄系飲食店 歩み紹介 移民150年、繁栄たどる


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 ホノルルでは沖縄県系人の経営する75軒のレストランが栄えた時代があった―。沖縄系レストランの歴史を紹介する展示会「ハワイ沖縄系レストランプロジェクト」が1月23日から2月8日まで、ホノルルハレ(ホノルル市庁舎)で開かれた。展示会はホノルル市の芸術文化室主催で、ハワイ日系移民150周年の記念行事の一環で開催。地元紙のスターアドバタイザーでも報道され、連日たくさんの人々が訪れた。最終日の8日には閉会式とレセプションが開かれ、ホノルル市のカート・コールドウェル市長ら関係者で会場は埋め尽くされた。

 「ハワイ沖縄系レストランプロジェクト」は、小禄字人会、ハワイ沖縄連合会、ハワイ日本文化センターが協賛した。「Columbia Inn」のオーナーのジーン・カネシロさん、「Yuki’s Cafe」の息子のハワード・高良さんとその娘、ホーリー・高良さん(故)が中心となり、2000年から、小禄出身者が経営するレストランの調査が始まり、沖縄系のレストランまで調査を広げていった。

 展示会では、75軒と沖縄系の約250軒を紹介。パネルには、沖縄系移民の時代背景や、レストラン経営に至った経緯、またどのように商売を展開し繁栄させていったのかが分かるように、当時のメニューや写真、それぞれのストーリーがつづられた。

 1923年に「American Cafe」を開店した小禄出身の高良牛さんは、同郷者に商売を伝授。銀行から融資してもらえない時代、出店費用を仲間同士の「模合」で捻出し、家族や親戚がサポートするシステムを構築した。また、地元民の需要に合わせ、レストランでは日本食に限らずアメリカンフードもメニューに取り入れ、店の名前も全てアメリカ風にした。

 沖縄系レストランを調査したカネシロさんは「忙しい時、沖縄系のレストランはお互いに食材やアルコール飲料を分け合い、従業員も送り出し、その場をしのいでいた」と語った。カネシロさんたちは、今回の展示を通して、調査済みの約250軒以外のレストランやオアフ島以外の島での情報について、一般市民に提供を呼び掛けている。
(名護千賀子通信員)

※注:Cafeの「e」はアキュート・アクセント