奄美遺骨も返還要求 3月、団体設立へ 人類学者持ち出し


この記事を書いた人 大森 茂夫

 旧帝国大学の人類学者らが風葬墓などから遺骨を持ち出した問題で、鹿児島県奄美諸島の研究者らが19日までに、京都大学に遺骨の返還を求める運動を始めた。遺骨が持ち出されたことが分かっている奄美大島、徳之島、喜界島の3島で3月までに団体を設立し、各島を結ぶ連絡協議会もつくって返還を要求する方針だ。遺骨が持ち出された場所の特定が困難な場合に備え、返還後に3島に慰霊塔を建立して共同埋葬することも想定している。

 人類学者らが残した文献などで奄美大島と徳之島、喜界島から計240体以上の遺骨が持ち出されたことが分かっている。それらは京都大に寄贈されたとされるが、京都大は奄美諸島の遺骨を保管しているかどうか明らかにしていない。

 返還運動を呼び掛けているフリーライターの原井一郎さん(68)=奄美市=は「具体的な活動内容はまだ白紙だが、盗掘に近い人骨収集は看過できない問題を含んでいる」と述べ、返還すべきだとの考えを示した。

 原井さんは、1933~35年に三宅宗悦氏(京都帝国大学の研究者)らが3島から遺骨を持ち出したことを指摘する。

 「遺族が特定されることが最善だが、不明な場合は全ての遺骨を発掘地に返還し、供養塔を建立することを国や京都大学に要求すべきだ」と話した。

 松島泰勝龍谷大教授によると、京都大には三宅氏らが持ち出した遺骨を含め、人類学者の清野謙次氏による「清野コレクション」として、約1400体が寄贈されている。
(宮城隆尋)