大規模返還跡地、初の国立公園へ 沖縄本島北部、過去に米軍廃棄物発見も


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 沖縄県沖縄本島北部の国頭、大宜味、東の3村にまたがる「やんばる国立公園」について、環境省は2016年末に過半が返還された米軍北部訓練場の跡地(約4千ヘクタール)の9割を含む約3700ヘクタールを編入し、公園区域を拡張する方針を決めた。手続きを経て7月にも編入する。大規模な米軍基地返還跡地が国立公園に指定される初めてのケースとなる。

 拡張により公園面積は現在の1万7292ヘクタールから約2万981ヘクタールとなる。増加する約3700ヘクタールのうち、3600ヘクタールが北部訓練場の返還跡地に当たる。環境省は編入理由について、跡地に亜熱帯照葉樹林などがまとまって存在し、一体的な特徴を有する既存の国立公園地域と合わせて保護管理を図る必要があることを挙げている。

 公園拡張に向け、環境省は26日に意見募集(パブリックコメント)を開始した。3月27日まで意見を募り、その後関係省庁などの協議を踏まえ5~6月をめどに中央環境審議会に諮る予定。審議会の答申を経て、夏に官報で告示する。

 現行のやんばる国立公園の区域内にはもともと米軍基地だった場所がごく一部含まれているが、今回のように大規模な面積が国立公園に指定された前例はない。

 これまで北部訓練場の返還跡地で米軍廃棄物が見つかった事例もあるが、環境省の担当者は米軍基地跡地の影響について「防衛省で適切な(環境汚染を取り除く)支障除去が行われたと聞いているので問題はないと考えている」としている。

 やんばる国立公園の拡張を巡っては、昨年12月に沖縄入りした菅義偉官房長官が、世界自然遺産登録も見据え返還跡地を18年中に国立公園に編入することを明言していた。