気仙沼の幸、布地に表現  石垣市出身デザイナーMIMURIさん 東日本大震災7年


この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治
ホヤやウニ、カツオなど気仙沼の海の幸を敷き詰めた“気仙沼柄”の布を製作したテキスタイルデザイナーのMIMURIさん=14日、沖縄県那覇市松尾のMIMURI

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市。その気仙沼を盛り上げようと、沖縄県石垣市出身のテキスタイル(布地)デザイナーのMIMURI(ミムリ)さん=那覇市=が、ホヤやウニなど気仙沼の海の生き物をモチーフにした“気仙沼柄”の布をデザインした。雑貨屋gruppo(グルッポ)の気仙沼アトリエがその布で製作した雑貨を3月から気仙沼市と石垣市のグルッポ、那覇市の店舗MIMURIで販売する。ミムリさんは「気仙沼の海の豊かさが伝わってほしい」と話した。

 気仙沼柄の布は、グルッポの濱田扶美さんとミムリさんのつながりで実現した。石垣市でグルッポを営んでいた濱田さんは、2011年の震災直後、気仙沼にも支店を開店。津波でミシンが流され、職を失った縫い子と協力して商品を製作し販売した。震災前から濱田さんとつながりがあったミムリさんは、自身の店舗で販売するカメラストラップの製作をグルッポ気仙沼の縫い子に依頼した。

 2014年にミムリさんは初めて気仙沼へ。街ごと津波にさらわれた市内の様子に衝撃を受けた。対照的に、既に復旧していた漁港にはたくさんの海産物が上がっていた。「海の幸がこんなにあるならこの町はきっと大丈夫だ」

 感動したミムリさんは気仙沼柄を作りたいと思うようになった。それから2年、毎年気仙沼に通いスケッチを続けた。大漁旗や日の出たこ。海産物だけでなく漁港から見える景色も丁寧に描き込んだ。

 布は昨年の秋に完成。2月には気仙沼の縫い子が作った髪飾りやキーホルダーなど、グルッポの商品も出来上がった。「復興のために小さなことだと思う。でも気仙沼を気に掛けているよ、思っているよという思いで作った」と言うミムリさん。「商品を手に取って気仙沼の海の豊かさを知ってもらえればうれしい」と語る。グルッポの濱田さんは商品の完成を喜び、「気仙沼のことを忘れずに暮らしてほしい」と話した。

 気仙沼柄の雑貨はグルッポ気仙沼アトリエで3月1日から、石垣アトリエで3月14日から販売を開始する。那覇市松尾の店舗MIMURIでも3月1日から1カ月間限定で販売する。今後グルッポのホームページでも販売予定だ。(田吹遥子)