「バニラ香」に黒麹菌関与 琉大大学院・眞榮田さんら解明 泡盛 古酒化に影響


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
眞榮田麻友美さん

 琉球大大学院農学研究科修士2年の眞榮田麻友美さんを中心とする研究グループは、泡盛に特有の古酒香「バニラ香」の生成に黒麹(こうじ)菌が関わっていることを突き止めた。黒麹菌は米を糖に転換し、酵母がアルコールを生み出すエネルギーを作ることが主な役割だが、これまで不明な点が多かった古酒化するメカニズムにも影響していることが分かり、黒麹菌の重要性を改めて示した。

 研究は平良東紀教授(琉球大学)指導の下、石川種麹店と共同で行った。

 古酒のバニラ香は「バニリン」と呼ばれ、香り成分の一つ「4VG」という物質が長期貯蔵中に酸化して生成される。

 4VGは泡盛の原料となる米に含まれるポリフェノールの一種・フェルラ酸から作られていることが知られていたが、フェルラ酸が4VGに変化する仕組みは分かっていなかった。

 眞榮田さんらは黒麹菌のゲノム情報解析と酵素を用いた実験の結果、黒麹菌にフェルラ酸を4VGに作り変える機能があることを証明した。麹づくりは一般的に2日程度行うが、3日以上にすることでその機能が高くなる。長期貯蔵してバニリンへの転換が進む古酒向けには、麹を作る期間を3日以上設けた方がよい効果を与える可能性がある。

 泡盛の古酒香は他にもマツタケ香など複数ある。眞榮田さんは「他の香りの生成にも黒麹菌が関与している可能性もあり、網羅的に見ていきたい」と意欲を語った。