朝鮮人の沖縄戦報告 動員後の差別究明 那覇で研究集会


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 戦時下に朝鮮人が強制動員された真相を究明する「第11回強制動員真相究明全国研究集会・沖縄」(主催・強制動員真相究明ネットワーク、沖縄恨之碑の会)が17日、那覇市国場の沖縄大学で開かれた。朝鮮人が沖縄戦などに動員され、強制労働をさせられたり慰安婦として従事させられたりした過酷な実態を県内外の研究者らが報告した。沖縄での開催は初めて。県内外から約150人が参加した。

戦時下に朝鮮人が強制動員された状況について報告を聞く集会参加者ら=17日、沖縄大学同窓会館

 沖縄恨之碑の会の沖本富貴子さんは、沖縄戦に動員された朝鮮人には(1)戦前から沖縄に在住(2)性奴隷として動員(3)労務動員(4)船舶乗組員(5)軍人・軍属として動員-の五つの形があったと指摘した。

 沖本さんは、強制労働させられた朝鮮人を監視する役割をしていた県出身の学徒兵の証言として「(朝鮮人が)怠けたらたたいていいからと6尺の棒を持たされた」と報告した。「沖縄は二等国民、朝鮮は三等国民」と位置付けられていたとし「朝鮮人は奴隷のように扱われて当たり前だとの意識があった。これが沖縄戦の中の朝鮮人だった」と語った。

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代さんは、日本軍の慰安所が県内各地に延べ145カ所あったと報告。朝鮮から強制連行され、慰安婦にさせられた女性たちに対する国の責任を強調した。戦場に置き去りにされた慰安婦らについて「土地勘もなく、知り合いもいない戦場を逃げ惑い、多くが命を落としたと考えられる」と語った。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんも登壇し、戦争犠牲者の遺骨収集やDNA鑑定について報告した。基調講演は石原昌家沖縄国際大学名誉教授が「天皇制を守る戦闘だった沖縄戦」、在日朝鮮人運動史研究会の塚崎昌之さんが「朝鮮人軍人・軍属の動員の実態とその被害」と題し報告した。