辺野古訴訟 県が控訴 工事差し止め仮処分見送り


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着々と工事が進む米軍キャンプ・シュワブの「K2護岸」と「K4護岸」=2月、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 県は23日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事で、県知事の許可のない岩礁破砕は違法だとして国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めて却下された一審那覇地裁判決を不服として、控訴した。同日、福岡高裁那覇支部に控訴状を提出した。判決まで工事の差し止めを求めた仮処分は抗告しなかった。

 13日の一審判決で那覇地裁は「県の訴えは裁判の対象にならない」として却下した。ただ、漁業権の有無や知事による許可の要否については判断を示しておらず県は「県の主張が否定されたわけではない」とし、今後の裁判に可能性をつなげている。

 県は、一審で求めていた工事差し止めの仮処分は、現時点で岩礁破砕を伴う工事がまだ行われていないことから今回見送った。仮処分による実質的な効果が期待できないことや、仮処分の審理が早期に進められてしまうことで本訴訟の審理時間が限られてしまう可能性などを懸念し、本訴訟のみに注力するとした。

 県は、工事海域には漁業権が存在し、埋め立て工事に伴う岩礁破砕行為には知事の許可が必要との立場だ。一方国は、工事海域の漁業権は消滅しており、知事による岩礁破砕許可は不要と主張している。