宮古島の「千代泉」復活へ 泡盛倉庫、残った原酒買い取る 価値高め今夏にも販売


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「千代泉」復活の取り組みを進める(左から)中野貴也さん、屋良景美さん、濱中大輔さん、比嘉智明さん、比嘉康二さん=23日、那覇市久米の泡盛倉庫

 宮古島北部・狩俣集落の酒造所でかつて造られていた泡盛「千代泉」を復活させる取り組みが進んでいる。泡盛専門バーの泡盛倉庫(那覇市、比嘉康二店長)らが宮古島の酒蔵で眠っていた原酒を全て買い取った。付加価値を高めて販売する計画で、早ければ今年7月にも第1弾商品が出る予定だ。メンバーは「千代泉最後の酒。多くの人に泡盛の魅力を知ってもらう契機としたい」と意気込んでいる。

 企画しているのは比嘉店長のほか、中小企業の経営を支援する比嘉智明さん、屋良景美さんと、酒類問屋に勤める濱中大輔さん、マーケティングを専門とする中野貴也さんでつくるグループだ。酒蔵に残っていた原酒約1万8千リットルの引き取り先が課題となっていることを聞き、事業を思い立った。メンバーが持つノウハウを結集して、事業化する。

 金融機関の融資やクラウドファンディングで計約3千万円を調達し原酒の買い取りや商品、プロモーションに充てる。3~5年程度かけて酒を販売していく。

 比嘉店長は泡盛を水割りにして飲むだけでなく生のまま、ちぶぐゎー(小さなおちょこ)でじっくり楽しむ飲み方の提案を狙う。「泡盛は100年以上にわたって寝かせることができ、代々大切に飲まれてきた。千代泉の貴重性を生かした泡盛の飲み方を提案したい」と話した。

 メンバーによると原酒はタンクに貯蔵され、2013年以降手を付けられていないといい、古酒化が進んでいると見られる。一方、いつから貯蔵しているかなどの記録が残っておらず古酒としての販売は難しいという。中小企業診断士の比嘉智明氏は「狩俣は文化財が多く存在する歴史ある地域だ。そういった地域性を織り込みながらブランディングしていく」と意気込む。

 今回の取り組みで培ったノウハウを活用し、将来的には商品開発力やマーケティング力が相対的に弱い小規模酒造所を支援していくことも検討し、泡盛業界全体の活性化にもつなげたい考えだ。