【沖縄】24年にわたって沖縄市民の胃袋を満たし続けた沖縄市役所地下1階のレストラン「うりずん」が、30日の営業を最後に閉店する。面倒見の良い店員のおばちゃん、素朴な味の定食、パノラマサイズの窓から望むコザの街並み。市母子寡婦福祉会が運営したレストランは交流の場としても市職員を中心に多くの市民に愛された。開店直後から店を支えたマネジャーの宮里由美子さん(62)は「多くの人に支えられ、ここまで続けて来られた」と感謝を口にする。
「43番さんでお待ちのお客さまー」「ありがとうございます」―。営業日が残り7日となった22日の昼食時。約90席ある店内は市職員や来庁者らで埋まり、いつものように店員の快活な声が響いていた。
開店は現庁舎が落成した約2カ月後の1993年6月。市母子寡婦福祉会が市職員厚生会から場所を借りて営業を始めた。チャンプルーや沖縄そば、カレーなど約30種ある多彩なメニューが人気を呼んだ。
食事のほか、中には夕刻からビールや泡盛をたしなみながら交流する人の姿も。催しの打ち上げや市職員の歓送迎会など、庁舎のさまざまな歴史を見詰めてきた。庁外の団体からも親しまれ、週末には大量の弁当注文を受けることもあった。
経理やホールを担当しながら、最後まで店を支え続けた宮里さんは「体力的にそろそろ限界。母子寡婦福祉会も人手がない」と閉店の理由を説明する。勤めた24年を振り返り「食中毒などの問題が最後までなかったことが誇りだ。本当に多くの方に支えられた。最後まで泣かずに頑張りたい」と力強く語った。
現役時代に市職員らで交流する「うりずん会」を立ち上げ、会としてもレストランを長く利用していた元市職員の中根勉さん(67)は「職員や報道関係者で飲みながらよく情報交換していた。毎週のようにうりずんに集まってたよ」と懐かしげ。市議時代から利用しているという桑江朝千夫市長(62)も「親しんだ味や職員の顔が見られなくなるのはさみしい。店員の方たちにはお疲れさまと言いたい」とねぎらった。(長嶺真輝)