4月は瓶・樽(たる)入りのビールや電気料金、たばこの一部商品、ハイヤー運賃などの値上げが相次ぐ。原材料費の上昇や人手不足に伴う人件費、物流コストの高騰が背景にある。国民健康保険の財政運営が市町村から沖縄県へ移管されるなど、社会福祉の制度で変更点もある。値上げや制度変更が、家計に影響を及ぼす懸念がある。
個人事業主や非正規労働者、無職の人などが加入する国民健康保険(国保)の財政運営が各市町村から県に移管される。県は4月からの被保険者1人当たりの「標準保険料」について、県平均で8万8419円(年額)になると算定している。2016年度の実績保険料と比較すると、31市町村で保険料が上がることになるが、県は公費の繰り入れなどにより、制度の移行によって負担額の大幅な変動はないとみている。
ただ、実際の保険料額は今回の標準保険料を基に、市町村が6月までに決める。市町村の公費投入額によって、県の算定通りに保険料が抑制されるのかは、新年度で調整される。
後期高齢者医療は、低所得者や、74歳まで夫や子どもらに扶養された人を対象にした保険料の軽減措置が廃止、縮小される。
雇用関係では、派遣などの非正規雇用で働く労働者が同じ会社で5年を超えて勤務すると、定年まで働くことができる「無期転換ルール」が開始する。
◆ビール、卸値転嫁慎重/飲食店、7月以降判断も
県内外の大手ビール各社は、4月から瓶ビールや主に業務用で使われる樽(たる)入りのビールを値上げする。運転手不足に伴う物流コストの上昇などが続いていることが影響している。これを受け県内の飲食店では、販売価格に反映させる時期について各店舗で検討し、対応が分かれている。
約千店舗が加盟する県飲食業生活衛生同業組合(鈴木洋一理事長)が3月31日までに那覇市や宜野湾市、北谷町などの飲食店15店舗にビール販売価格の対応を確認したところ、4月から値上げするのは3店舗にとどまった。4~6月の3カ月間は価格を維持し、7月以降に値上げするか検討する店舗が11あり、1店舗は昨年12月時点で既に値上げしたという。
県内で16店舗を展開する飲食店グループでは、入荷しているビールの値上げ幅は6~8%となる。4~6月はビールの販売価格を維持して状況を精査し、7月以降に値上げするかどうか判断する方針だ。
同グループを運営する役員は「消費者のことを考え、企業努力でなるべく価格を抑えるようにしているが、人手が不足し、人件費も高騰する中で従業員の給与も確保しなければならない」と述べ、7月以降、値上げせざるを得ない状況も想定される。しかし「飲み控えにつながることは怖い」とし、値上げ後の影響を考えると悩ましい状況から、慎重に検討している。
◆電気代4ヵ月連続/沖縄限定たばこも40円増
全国各地の大手電力10社は1日から電気料金を値上げする。このうち沖縄電力では、標準的な家庭の月額電気料金は前月比で57円上がり、7378円となる。電気料金は、燃料となる液化天然ガス(LNG)の価格変動に伴って1カ月ごとに値上げ・値下げを繰り返している。昨年12月に前月比で8円下がって7103円となった後、今年に入ってからは1~4月の4カ月連続で値上げが続いている。5月はさらに108円値上げされ、7486円となる予定だ。
たばこも国産6商品で1日から値上げされる。このうち沖縄限定紙巻きたばこの「ウルマ」は320円から360円に、「バイオレット」は310円から350円に値上げされる。
沖縄本島のハイヤーは、新たな運賃が適用される。30分当たりの運賃は普通車が2180円から2460円となり、280円値上げされる。大型車は2430円から2740円となり、値上げ幅は310円となる。