農地にパラシュート、米兵落とす 伊江、民家から50メートル 住民「やりたい放題」


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 米軍伊江島補助飛行場(沖縄県伊江村)でパラシュート降下訓練をしていた米兵が3日、提供施設区域外にパラシュートを落下させていたことが4日、分かった。落下地点は民家から約50メートルの農地だった。落下による被害は確認されていない。

 1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意に基づきパラシュート降下訓練が移転された伊江島では、これまでも米兵や物資が目標地点からずれて民間地に落下する事故が何度も起きており、一歩間違えば大惨事となる可能性もあった。島民からは「何度も抗議するが、私たちの意見は届かずに米軍はやりたい放題だ」と反発の声が上がっている。

 落下当時、米陸軍兵士8人が輸送機C130で1万フィート(約3キロ)上空から降下する訓練をしていた。村によると、落下事故は3日午後6時20分ごろ。降下訓練中の米兵1人のパラシュートが開かず、切り離して農地に落下した。米兵は予備のパラシュートで施設区域内に着地し、けがはなかった。

 落下したパラシュートは、米軍伊江島補助飛行場のフェンスから約150メートル、抵抗運動の拠点となった島内の「団結道場」から約200メートルの距離だった。3日午後6時半ごろ、伊江村が現地の米軍渉外官からの連絡を受けて発覚した。パラシュートは米軍が既に回収しており、大きさや重さは明らかになっていない。村は「被害はなかった」としている。

 昨年11月にも伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中だった米兵2人が、フェンスを越えて民家から約350メートルの耕作地に落下している。補助飛行場に隣接する真謝区の平安山良尚区長(56)は「幾度となくそういう事故が起きていて、演習するたびに上を見ている。いつ自分たちの頭上に落ちてくるか分からない」と憤った。

 伊江村から連絡を受けた沖縄防衛局は3日午後10時ごろ、県にパラシュート落下を報告した。これを受け県の金城典和基地対策課長は4日、沖縄防衛局に電話で「周辺住民に不安を与える事故だ。住民に被害や不安を与えることがないよう、安全管理に万全を期すよう米軍に働き掛けてほしい」と求めた。

 一方、沖縄防衛局は本紙取材に「周辺に民間人はいなかったと承知している。米軍に事実関係を照会している」と回答するにとどめた。