泡盛「千代泉」が廃業 県内酒造所で復帰後初 宮古島市、1948年創業


この記事を書いた人 大森 茂夫
千代泉酒造所のラベル

 沖縄県宮古島市平良狩俣の琉球泡盛酒蔵所・千代泉酒造所が3月末で廃業したことが6日、分かった。県酒造組合によると、県内の泡盛酒造所の廃業は1972年の日本復帰以降では初めて。千代泉酒造所は2013年に経営者が亡くなって以降、後継者が見つからず休業状態だった。泡盛出荷量の減少が続く中、小規模酒造所を中心に事業承継の難しさが課題として浮かび上がった。

 県酒造組合や相続財産管理人となった弁護士によると、千代泉酒造所は13年以降、酒の製造を停止した。親族や島内の酒造所で引き継ぎ先を検討したが見つからなかったという。

 今年に入ってタンクに残っていた在庫の引取先が見つかって清算を終え、3月末で廃業した。

 県酒造組合も17年度で退会扱いとした。

 県酒造組合の土屋信賢専務理事は「後継ぎがおらず、廃業は残念だがやむを得ない」と述べた。「県内酒造所の半数近くが離島にあり、従業員が数人しかいない小規模な酒造所も複数ある。後継者不足が課題と認識しており、組合としても人材育成を支援していきたい」と話した。

 酒造組合によると千代泉酒造所は1948年創業。「千代泉」の銘柄が地元住民を中心に親しまれていた。