キングス延長制す 川崎に79―77 Bリーグ第51戦


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングス(西地区1位、38勝12敗)は8日、沖縄市体育館で川崎ブレイブサンダース(東地区3位、34勝16敗)と今季第51戦を行い、79―77で延長戦を制した。

 キングスの西地区優勝は(1)14日の次戦で新潟アルビレックスBBに勝利する(2)同日に京都ハンナリーズがレバンガ北海道戦に敗れる―のいずれかが決まると確定する。7日の試合で封じられたペイントエリアで第1Qからハッサン・マーティンが得点を重ねる一方、好調だった3点弾が外れ、点差がつき始める。その中でも攻守でのリバウンドをしっかり奪うと、スティールからシュートにつなげるなどし、第2Q終了間際には岸本隆一の3点弾のブザービーターを決めて前半を6点差で折り返す。後半は岸本が3点弾を決め始め、第3Qで逆転する。第4Qは川崎の反撃で逆転されるも、残り5秒で岸本が3連続フリースローを決めて、延長戦へ。延長では一進一退の展開となるが、最後も岸本がこの日7本目の3点弾を入れて、勝負を決めた。次戦は14日午後7時5分から、新潟県のシティホールプラザアオーレ長岡で新潟アルビレックスBBと戦う。

キングス 39勝12敗
 79―77(11―17,17―17,24―13,15―20,延長12―10)
川  崎 34勝17敗

 【評】ハッサン・マーティンがゴール下で決めれば、古川孝敏や田代直希が外から得点を決めた。主将としてチームを引っ張る岸本隆一がプレーで見せた。第2Q終了間際の3点弾を皮切りに、得点が決まり始める。3連続フリースローを決め、延長に持ち込むと7本目となる3点弾で試合を決めた。

◆余韻に浸りたい

 佐々宜央HC(キングス)の話 互いにいい時間と悪い時間がある、すごい物語のある試合だった。今は(勝利の)余韻に浸りたい。岸本(隆一)はやったねという感じ。今年は(チームが)崩れそうな時に主将が一番崩れない。成長してくれたことがうれしい。上位チームに勝つためには安定する力が必要で、CSまでにその力をつけていきたい。

◆一撃かなわず

 北卓也HC(川崎)の話 勝負どころでしっかり決められなかったことや、岸本(隆一)選手の3点弾に終盤でもアジャストできなかったのが課題だった。選手たちはこの熱狂的な琉球ファンの雰囲気の中で、点差を戻すように我慢できた。ここの一体感は素晴らしく、ここで試合をしたいチームなどないと思わせるぐらいだ。ファンを黙らせるような一撃ができなかった。

◆岸本、勝負どころで輝き

 

キングス―川崎 第4Q、3回連続でフリースローを決め同点に追い付き、延長戦に持ち込んだキングスの岸本隆一=8日、沖縄市体育館(具志堅千恵子撮影)

 強豪・川崎ブレイブサンダースと延長戦までもつれ込んだ接戦に終止符を打ったのは、主将の岸本隆一だった。

 1点ビハインドの延長終了残り20秒前にアイラ・ブラウンからパスをもらい、放った3点シュートはリングへ吸い込まれて勝負を決めた。その瞬間に観客、スタッフや選手も一気に立ち上がり、会場は大いに盛り上がった。

 両チーム最多の32得点を挙げ、試合後にマイクを握った岸本は「めっちゃ疲れたっす」とちゃめっ気を見せながら「皆さんのおかげで立ち上がれた。これからも一緒に楽しんでいきましょう」と語った。

 前半から調子が良かった訳ではない。3点弾を狙うも、4度リングに嫌われた。第2Q終了間際に放った3点弾が、ブザービーターで決まった。

 「あの1本でいいきっかけが作れた」と第3Qから躍動。4本の3点弾で逆転に成功すると、第4Q終了5秒前にはファウルで得た3連続フリースローをしっかり沈め、同点にした。延長戦でも勝負を決めた7本目の3点弾など計7点を挙げた。試合後「(3連続フリースローが)一番価値のあるシュートだった。手も震えましたし、もう嫌ですね」と笑う。

 前日、12得点と押さえられたペイントエリアでの得点は36点まで増えた。岸本も「3点弾は波があるので、ペイントエリアで戦うことが大切だと感じた。今後もどう攻略していくか準備したい」と振り返る。

 強豪・川崎からの勝利はチームとしても一つの自信になる。それでも「チームがいい状態の中で危機感は持っていないといけない」と気を引き締めた。
(屋嘉部長将)