沖縄から県外 9年ぶりに「転出」が上回る 若い世代が正社員の職求めて県外へ


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 南西地域産業活性化センター(NIAC、石嶺伝一郎会長)は9日、沖縄の人口動態の分析結果を発表した。2017年の沖縄の社会増減(転入者数から転出者数を引いた数値)はマイナス25人になり、08年以来の「転出超」となった。留学などのため海外から沖縄へ転入する外国人は多いものの、好景気に伴って就職先を求めて沖縄を離れる若い世代も増えているとみられている。

 NIACは県の推計人口を基に社会増減の分析をまとめた。17年の転入者は3万834人、転出者は3万859人で、わずかに転出者数が上回った。このうち日本人の転入者は2万6449人、転出者は2万8335人となっており、1886人の「転出超」となった。外国人の転入者は4385人、転出者は2524人で、外国人は1861人の「転入超」となっている。

 NIACの金城毅上席研究員は「県内でも景気の拡大が続いて雇用情勢も改善しているが、正社員の求人は県外の方が多い。正社員の仕事を求めて若い世代が県外に出ているのではないか」と指摘する。海外からの転入が増えている背景については「日本語学校に通うためネパールから来る留学生や、ベトナムの技能研修者が増えている」と分析している。

 沖縄の社会増減は全国的に景気拡大が続いていた08年まで「転出超」となっていた。リーマンショックによる景気後退の影響を受けた09年から「転入超」に転じて、東日本大震災や原発事故が発生した11年は大幅な「転入超」となっていた。

 沖縄の自然増減(出生数から死亡数を引いた数値)は、自然増の状態が続いている。一方、出生数はほぼ横ばいのままで、死亡数が増加基調にあるため、増加の幅は縮小傾向となっている。