強い感染力を持つ麻疹(はしか)の影響が、ついに県外にまで及んだ。沖縄を訪れた観光客のはしか感染が13日までに確認され、旅行客のキャンセルも出ている。このままでは好調な観光業に影を落としかねないと、県や観光業界は対応に苦慮する。県内の病院では入院者への面会を制限する動きが続いており、警戒感は高まる一方だ。
「沖縄県へのご旅行・ご出張を予定されている皆様へ 以下の点をご対応いただいた上で安心して沖縄県にお越しください」―。県地域保健課は13日、国内観光客向けのQ&Aをホームページに公開した。県内のはしかの発生状況に加え、必要な回数のワクチン接種をすれば、感染の可能性が低くなることなどを説明する。
「キャンセルが出たのは残念だ」。県観光振興課の担当者は強い危機感をにじませる。13日までに宿泊予約が1件取り消されたほか、台湾の旅行客33人のキャンセルが確認された。はしかの流行が原因とみられる。
県と沖縄観光コンベンションビューローは13日に会議を開き、観光客への対応策を協議。台湾でキャンセルが出ていることを踏まえ、外国客向けの資料も準備を進めている。県観光振興課は「ワクチン接種をすれば感染は防げる。正確な情報を発信していく」と強調した。
患者を受け入れるなどしている病院では、院内感染に最大限の注意を払う。4月に入り、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センターが入院患者への面会を原則として全面禁止にすると発表。那覇市立病院も家族以外の面会は原則禁止している。
13日には名護市の県立北部病院が「不要不急の面会は控えてほしい」との告知を始めた。これまでに同院で確定診断が出されたはしか患者は6人。今も1人が入院している。同院は「患者への感染拡大を防ぐため、出入りは必要最低限にしてほしい」と訴えている。