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【島人の目】「返還交渉人」の映画化

 千葉明ロサンゼルス総領事から、沖縄返還交渉に携わった父で当時外務省北米第一課長だった一夫氏を描いたNHKドラマ「返還交渉人」が映画化されるとのメールがきた。制作に携わったNHKの宮川徹志チーフ・ディレクターが、東京で試写会があるので琉球新報の方にも、取材してほしいとのことだった。

 宮川さんによると、去年8月に放送された同ドラマは文化庁の芸術祭参加作品に選ばれるなど好評だったこともあり、今回、映画用に再編集したという。全国の単館系の劇場で6~8月に上映されることになった。東京ではポレポレ東中野、沖縄では桜坂劇場で上映されるようだ。映画版では、89分のドラマのためにカットしてしまったシーンや細かな修正を加えるなど、いわゆる「ディレクターズカット版」となっているとのことである。

 史実を小説やドラマ、映画にするのは難しいことだろう。例えば山崎豊子さんの「大地の子」の全巻には「この作品は多数の関係者を取材し、小説的に構成したもので、登場する人物、関係機関なども、すべて事実に基づいて再構成したフィクションである」とのことわりが書いてある。「返還交渉人」も、千葉夫妻と屋良朝苗知事以外の登場人物は名前を変えるなどフィクションの部分もある。しかし宮川さんは、沖縄返還に心血を注いだ一夫氏の姿勢の背景には強烈な戦争体験があったことなど、物語のエッセンスの部分で真実を描くことを意識したと強調する。

 ドラマや映画は視聴率、観客を集める意味である程度の娯楽性が必要だし、制作者としてはその点を腐心するのではないだろうか。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)