非公開の議事録誤って史料館に 閲覧申請で気付き削除


この記事を書いた人 琉球新報社
外交史料館への移管ファイルのリスト。ファイルは連番だが、「2018-0029 日米合同委員会議事録」のファイルが抜けたため「0028」から「0030」に飛んでいるのが分かる

 【東京】外務省は25日までに、1月に公開した外交史料館への移管文書目録にいったん登録した「日米合同委員会議事録」のファイルを、外部からの閲覧請求を受けて目録から削除した。合意議事録は「日米双方の同意がなければ公表されない」とされ、基本的にはこれまで公表されていない。

 外務省外交記録情報公開室は「(同議事録は)外務省が行政文書として引き続き管理しておくべき文書だ。人為的ミスで本来入れるべきではない文書が誤って入ってしまった。今後、再発防止のため複数で確認するよう厳格化する」と説明した。

 外務省内の行政文書は、保存期間が満了になった場合、文書を特定歴史公文書として外交史料館に移管するか、廃棄するかを判断する。省内でさらに保管が必要と判断すれば、保存延長の手続きが取られる。史料館に移管されても自動的に公開されるわけではないが、移管の決定を受けて史料館はファイルの目録を公開している。

 今回、合同委議事録ファイルがリストから削除されたのは1月31日公開の移管目録。公開当初は「2018-0029 日米合同委員会議事録1」が存在したが、外務省は外部からの閲覧請求で移管したことに気付き、4月17日時点でこの文書を抜いた目録に差し替えた。

 文書ファイルには連番の管理番号が割り振られている。現在の目録は「2018-0028 日米安全保障条約第3条に基づく行政協定関係・日米合同委員会関係議事録(索引)」と「2018-0030 青年海外協力隊派遣取極」と並んでおり、「0029」が欠番になっている。

 合同委員会議事録の公開を巡って訴訟している情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「史料館に移管イコール公開ではないが、日米地位協定室などの管理権から離れるのは絶対にやりたくないのだろう」と推測する。議事録の公開については「これまで公式に出てきたことはない。米側の合意がないという形式論どまりで、中身をどこまで出せるのか、質的議論は問われてこなかった」と述べ、情報公開判断の問題点を指摘した。