有料

妊娠、出産した生徒が再び進学を決意 「つながり」が後押し


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
女性が高2の頃に使っていた英語の教科書。勉強の跡が見える

 2015~16年度に沖縄県内の公立高校が妊娠を把握した生徒が全日・定時制を合わせて159人おり、このうち22人が自主退学していたことが県教育庁県立学校教育課のまとめで1日までに分かった。妊娠を理由に「説諭」の懲戒を受けた生徒が9人、「本人の学業継続が他の生徒に対する影響が大きい」として、休学または転学を勧められた生徒も1人いた。

 調査では、女子高校生の妊娠をめぐる実態が明らかになった。中退し就学をあきらめた生徒がいた一方、学校側の丁寧な関わりによって出産後に学校に戻る決意をした生徒もいる。

 全日制高校2年の頃に妊娠し、就学をためらっていた女子生徒(18)は、学校側の勧めで泊高校内にある「高等学校生徒就学支援センター」へ転籍し、子どもを出産した。元の高校を離れて2年が過ぎた今も、当時の担任と連絡を取り合い、クラス会に子連れで参加している。「先生が気に掛けて話を聞いてくれる。クラスの皆が変わらず接してくれることもうれしい」とつながっている仲間の存在に感謝する。

 女子生徒が同級生の交際相手との間の子どもを妊娠したのは高2の頃。当時、部活動で推薦合格した高校に通っていたものの、周囲の勉強のレベルに追い付けず、学校は休みがちだった。

 妊娠した当初は、高校に通いたいとの意思もあったが、学業との両立の具体的なイメージは湧かなかった。だが、妊娠を伝えた学校側との面談で、話し合いを重ねるうち「育児と学校を両立するのは無理だ」と思うようになった。

 学校側は何度も女子生徒と母親と面談を行った。通学を迷う女子生徒に学校側は「高等学校就学継続支援センター」を紹介した。センターでは高校中退を考える生徒を受け入れ、再就学を支援している。興味を持った女子生徒がセンターを訪問すると決めると、担任が同行して母親と共に話を聞いた。

 センターへ転籍が決まると、担任はクラスでお別れ会を企画した。女子生徒はセンターに籍を置いたまま翌年、子どもを出産した。

 出産から1年がたった今でも、担任は連絡を欠かさず女子生徒を気に掛けてくれるという。「子どもを連れてクラス会に参加している。皆がよくしてくれてうれしい。子育てや家事をしながら学校へ行くのは難しいけれど、あのクラスなら最後まで通いたかった」と話す。

 女子生徒は子どもが1歳を迎えたのを機に今年、通信制高校を受験することを決めた。「妊娠する前までは高校に行く気持ちは強くなかった。子どもが生まれたことで、もう一度通おうという気持ちが強くなった」と気持ちの変化を語る。子どもの存在と、学校を離れてからも見守る元担任やクラスメートを励みに、受験を乗り切りたいと考えている。