労災死傷最多1190人 17年沖縄県内 死亡14人、環境悪化


この記事を書いた人 大森 茂夫
工事中石積みが崩れ、作業員1人が死亡した事故現場=2017年8月15日午後、北中城村(新里圭蔵撮影)

 2017年の1年間に起きた沖縄県内の労働災害(休業4日以上)による死傷者数が過去37年間で最多の1190人に上ったことが、3日までに沖縄労働局(安達隆文局長)の調べで分かった。このうち死亡者数は前年より9人増えて14人に上った。この中には仕事上の過重な責任の発生などが重なり、精神障がいを発病し自死した事例が1人含まれている。1カ月に100時間以上の時間外労働があった人もいた。労災の増加は、建築工事現場などを中心に、深刻な人手不足を背景にした労働環境の悪化が要因とみられる。

 労災発生件数は沖縄の日本復帰後では5番目に多い数。事態を重く見た沖縄労働局は今月中にも労災防止の対応策を発表する。

 県内の労災死傷者数は復帰翌年の1973年に1277人(うち死亡者数35人)と最多を記録し、しばらくは千人前後で推移していた。85年に千人を下回ってからは減少傾向をたどり、99年には702人と過去最少を記録した。

 しかし、近年は労災の発生件数が増加する傾向にあり、2014年に1046人と30年ぶりに千人を超えた。16年は1091人、17年は1190人と上昇に歯止めがかからない状況となっている。

 17年に発生した労災を業種別でみると、建設業が前年比60人増の212人と最も多かった。社会福祉施設などの保健衛生業が171人(前年比37人増)、商業の166人(同24人減)、製造業の159人(同8人減)などと続いた。

 死亡災害は墜落や転落による事故が5件と最も多く、住宅建築の作業現場で約5・7メートルの足場から転落して数日後に搬送先の病院で死亡した事例などがある。建築現場の作業員や警備員が熱中症を要因に死亡した災害も2件あった。(嶋岡すみれ)