環境省那覇自然環境事務所は国頭村の施設で飼育しているヤンバルクイナ約80羽のうち、最多で5羽を沖縄市の沖縄こどもの国に分散して飼育する方針であることが10日、分かった。鳥インフルエンザなどの病気や災害で一度に死滅する危険を分散することが目的。本年度中に沖縄こどもの国で飼育を始める予定で、一般公開も視野に入れている。
希少種の分散飼育は県内で初めて。県外ではツシマヤマネコを福岡市の動物園に移すなど希少種の分散飼育が取り組まれている。
環境省は種の保存法に基づき、2010年からヤンバルクイナの飼育・繁殖を始めた。国頭村内の施設は非公開で、これまでに40羽以上を繁殖させている。
沖縄こどもの国はこれまでにツル目クイナ科のシロハラクイナ、バンを繁殖させた実績があり、候補に挙がった。
那覇自然環境事務所は「絶滅が危惧される希少種のリスクを回避するため、保全策の体制強化に取り組みたい」と意欲を示した。
2月に開催された環境省や県などでつくるヤンバルクイナワーキンググループの中で沖縄市が受け入れる方針を示した。今後、沖縄市が那覇自然環境事務所に申請書を提出し、審査を受けた上で飼育が始まる。市担当者は「飼育、繁殖技術を確立し、一般公開なども含めて環境省や国頭村など関係機関と密に協議を進めたい」と語った。
沖縄こどもの国理事長の桑江朝千夫沖縄市長は「環境省の指導も仰ぎながら、飼育技術の研究などを進めていきたい。ヤンバルクイナ繁殖に貢献できればうれしい」と語った。