沖縄県内民生委員 充足率86% 全国平均以下 2072人、13町村定数満たす


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 12日の「民生委員・児童委員の日」に合わせ、沖縄県子ども生活福祉部は10日、県内で委嘱されている民生委員は4月1日時点で2072人で、定数2399人に対する充足率は86・4%だと発表した。昨年同時期より37人増えているものの、2016年12月時点の47都道府県平均は96・3%に上り、全国と比べると低い状況にある。

 民生委員は、厚生労働大臣に委嘱され、地域や児童福祉の向上のために活動するボランティア。県福祉政策課によると、地域コミュニティーの希薄化で特に都市部で担い手を確保しにくくなっている。沖縄は、米軍統治によって制度の導入が遅れたことなどから民生委員に対する認知度が低く、充足率も全国平均より低い状況が続いている。

 欠員数が最も多いのは那覇市で68人、次いで沖縄市32人、うるま市30人、名護市25人。マンションなど集合住宅では訪問活動が難しく、民生委員の負担感が増しているという。

 定数を満たしている自治体は大宜味村、伊江村、伊平屋村、宜野座村、読谷村、渡嘉敷村、渡名喜村、粟国村、南大東村、八重瀬町、多良間村、竹富町、与那国町の13町村。

 充足率100%の読谷村でも辞意を表明している民生委員がいるという。同村の担当者は「担い手不足で厳しい状況はどこも同じ。これからは若い人たちをどう巻き込んでいけるかが課題だ」と話した。

 子ども生活福祉部の大城玲子部長は、民生委員は子どもの貧困や虐待、社会的孤立など地域が抱える課題を行政につなぐ重要な役割を担っていると指摘し「必要な人数を定数にしているので、100%に近づけるよう努力していく」と話した。

 9月27、28日には全国各地の民生委員が集まって意見交換する「第87回全国民生委員児童委員大会」が宜野湾市などで開かれる。県内での開催は初めてといい、県は活動への理解向上を呼び掛けている。