給付奨学金、貧困対策の肝に 復帰46年インタビュー 福井沖縄相に聞く


この記事を書いた人 大森 茂夫
沖縄振興の展望などを語る福井照沖縄担当相=10日、内閣府

 1972年の沖縄の日本復帰から15日で46年となるのに合わせ、福井照沖縄担当相に沖縄振興の展望などを聞いた。(聞き手・當山幸都)

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 ―これまでの沖縄振興の評価と今後の課題は。

 「沖縄経済は着実に成長し、有効求人倍率は復帰以来、最高値を記録し初めて1倍を超えた。観光客数もハワイを超えた。一方、若年層を中心とした失業率は高い。リーディング産業である観光業、ITの高付加価値化などが課題だ。よく聞くのは雇用のミスマッチで、観光業で働くことのイメージアップも必要だ」

 ―子どもの貧困などの構造的な問題への対応は。

 「沖縄は相対的貧困率が高い。全体の所得を上げるため、産業の高付加価値化や高度化が必要だ。OIST(沖縄科学技術大学院大学)からはベンチャー企業も誕生しており、期待している。沖縄独自の給付型奨学金の肝は、専門学校に使えることだ。手に職を付ける人のため貧困対策の肝になる」

 ―米軍基地と振興の関係をどう考えるか。

 「米軍基地の負担軽減が大変重要な課題だと認識している。(嘉手納より南の返還計画で予定される)千ヘクタールもの種地がある県は他にない。可能性を大きく秘めた県だ」

 ―2019年度予算編成についてどう考えるか。

 「地元の要望を踏まえるが、キャップ(上限)もあるのでバランスをとって沖縄振興のために必要な額を要求して確保したい。鉄軌道を『骨太方針』に盛り込むかは、県の要望も踏まえ与党のプロセスの段階で入るよう努力していく」

 ―泡盛の販路拡大策は。

 「要望を踏まえ対応していきたい。泡盛は輸出プロジェクトが立ち上がり、20年度までに輸出量を倍増させる目標を達成しなければならない。来年6月の大阪でのG20、19年のラグビーW杯、20年の東京五輪・パラリンピックなどの場でも泡盛を提供できる機会を増やしたい」

 ―観光客数はハワイを超えたが、消費額など課題が残る。

 「観光とは『国の光を観(み)る』ことで、深い言葉だ。観光産業の働き手が沖縄で育ち、沖縄で勉強し、世界中からの観光客をおもてなしするのはすてきなことだ。

 沖縄でのリゾートウエディングの実施組数は17年度1万7千組で、推計経済効果は271億円だ。こういう取り組みはもっと拡大していい。『観光』の光は何の光か。その地で暮らす人の笑顔だ。それが最高のおもてなしになるので、みんなで盛り上げたい」