FC琉球、高原直泰率いる沖縄SV下し、天皇杯へ


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3点目のゴールを決め、喜びを爆発させるFC琉球のMF富樫佑太=13日、県総合運動公園陸上競技場

 サッカーの第98回天皇杯全日本選手権大会県予選は13日、沖縄市の県総合運動公園陸上競技場で決勝を行い、FC琉球(J3)が沖縄SV(九州1部リーグ)に4―1で勝利し、9年連続12回目の全日本選手権への切符をつかんだ。琉球は前半30分にコーナーキックから中川風希が先制し主導権を握った。後半1分、ファウルで獲得したPKを徳元悠平が落ち着いて決め2点目、15分には富樫佑太がゴールを割り3―0とリードを広げた。その後沖縄SVに1点を返されるが試合終了2分前、金成純がフリーキックでダメ押しの1点を決めて、4―1で快勝した。琉球は26日午後7時から、同競技場で天皇杯の1回戦を行い、愛媛県代表のFC今治(JFL)と対戦する。勝つと6月6日、J1の清水エスパルスと顔を合わせる。

 ▽決勝
FC琉球
4―1(1―0,3―1)
沖縄SV
▽得点者【琉】中川、徳元、富樫、金【沖】関

 金鍾成監督(FC琉球)の話 勝利というよりも、チームの形を求めていった。終盤まで集中力を切らさず、守備面でも、早い段階で相手のボールを奪えるなど、収穫があった試合だ。次戦は厳しい戦いになるが、しっかりと勝利をつかみ取り、J1の清水と対戦できる大事な機会をものにしたい。

 高原直泰選手兼監督(沖縄SV)の話 スピードのある琉球に対応することに時間が掛かり先制を許し、PKの失点で流れを止められなかった。やりたいプレーができず、まだまだ力不足だと感じた。Jリーグのチームとシビアな戦いをできたのは大きな収穫だった。

◆若い力躍動の貫禄勝ち

 Jリーグチームとして試合なしで決勝に進んでいたFC琉球に対し、今季から“飛び級”で九州リーグ1部に参戦している沖縄SVが挑んだ注目の一戦。元日本代表のFW高原直泰率いる沖縄SVへの期待も大きく、会場には2132人の観客が駆けつけた。その中、得意とするパスサッカーで琉球がボールを保持し、ペースを離さない。守備でも高い位置でボールを奪い、素早く攻撃に転じた。金鍾成監督が「気持ちを切らさず、最後まで集中した」と話すように、琉球が貫禄勝ちした。序盤は動きが硬く、ゴール前でもいまひとつ連係が合わなかった。膠着(こうちゃく)した状態を破ったのは30分、中川風希が金成純のコーナーキックをヘディングでゴールに流し込んだ。

 勢いが出てきた琉球は、後半開始直後にPKを獲得。徳元悠平が落ち着いてGKの逆をつき追加点を奪い、15分には、左サイドから和田凌の浮き球のクロスを富樫佑太がボレーシュートで豪快に押し込んだ。高原の絶妙なアシストもあり相手に1点返されたが、終了間際に金のフリーキックがゴールの左隅に吸い込まれ、勝負を決めた。

 決勝でゴールを決めた4人は1995年生まれ。若いメンバーが勝利の立役者となった。公式戦初ゴールで1アシストと活躍した金は「FKでも落ち着いて、得意なコースで決め切れた」と満足げだった。26日の天皇杯初戦は、昨年と同じFC今治が相手だ。5―5の末のPK戦で敗れただけに、中川は「借りを返したい」と雪辱を誓った。
 (喜屋武研伍)