【アメリカ】「新たな自分を発見」 安里萌さん(北中城村出身) 米大学で日本語授業担当


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米リッチモンド大学で日本語教育に携わる安里萌さん

 琉球大学国際言語文化学科琉球アジア文化を卒業した北中城村出身の安里萌さん(24)は、2016年8月から米バージニア州のリッチモンド大学日本語学科でティーチング・アシスタントとして日本語教育に携わっている。今月、2年間の任期が終了し、帰国する安里さんは「米国では人種、性別、年齢の違う人との出会いがあり、多くの未知なることへの挑戦を通して自分の正直な気持ちに気付かされた日々だった。勇気を持って一歩踏み出せば、新たな自分の発見につながることも分かった」と強調する。

 安里さんは沖縄で公務員試験を受け合格したが、海外での日本語教師の仕事に挑戦するため渡米した。リッチモンド大の日本語授業では、文法を学ぶ「レクチャークラス」と、新しい文型を取り入れての日本語のみの「ドリルクラス」がある。安里さんはドリルクラスを担当し、話す能力の上達に向け、意欲を燃やしてきた。だが最初は、納得できる授業をすることができず苦悩した。授業の準備に時間がかかり、徹夜になることもあった。「実践となるとうまくいかず、先生としての教えるスキルが必要だと痛感した」と話す。しかし日本語担当の先生から教授法を学びながら、模索を続け1年目を乗り越え、2年目から効率的に教える方法が分かるようになったという。

 また、大学内にある寮での欧州からの留学生との共同生活は、戸惑いの連続だったという。異文化の同居人からは今までの常識が覆される数々の洗礼を受けたという。「新しい環境に慣れるのは大変だった。スペイン、デンマーク、フランスなどの学生らとの生活は、ある意味で『世界は広い』を実感させてくれ、収穫だった」と話す。学生の頃から三線を学んでいた安里さんは、大学の外では、ワシントンDC沖縄会のイベントに三線グループの一員として参加し、歌三線を披露してきた。

 帰国を間近に控え、安里さんは米国の大学生について「勉強に対しては絶えずストイックで、勉強量も半端じゃない。日本の学生はのんびり感があり、必死さで差があると感じる」と話す。最後に「貴重な経験をどのように生かしていくかが今後の課題。日本語教師になる方向で進みたい」と抱負を語った。
 (鈴木多美子通信員)