社会

北部訓練場「管理計画を」 IUCN・世界遺産延期勧告 跡地が区域「分断」

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)は15日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に関し「登録延期」と勧告した判断理由の詳細をホームページで公表した。IUCNは推薦地に隣接する米軍北部訓練場を推薦地全体の管理計画の中に組み込む仕組みづくりを求めた。基準に合致しない理由として挙げた「資産の分断」について、米軍北部訓練場と同訓練場返還跡地を推薦地に組み込まなかったことが主な要因だったことも明らかになった。

 識者や自然保護団体などが指摘してきた推薦書の不備をIUCNも指摘した格好だ。基地内の管理計画策定には米軍との協議も必要で、今夏の世界自然遺産登録はさらに厳しい情勢となった。

 IUCNは、返還地を含む北部訓練場全体を高く評価。北部訓練場が推薦地やバッファーゾーン(緩衝地帯)にも指定されず、高い水準の景色や生態系の連続性があるにも関わらず、地図上は分断されているように見えると指摘した。

 日本政府は返還跡地を可能な限り早急に推薦地に含めると説明したが、推薦段階で含まれていなかったため、IUCNの調査団が視察できていなかったことにも言及した。

 勧告は、自然の価値や他地域との比較、保護・管理の体制などについて項目ごとにまとめられている。奄美・琉球は英文で12ページにわたり見解が示されている。

 今後、政府は6月末に始まる世界遺産委員会で諮るか、推薦を取り下げ新たな推薦書を作り直すか、沖縄と鹿児島両県や地元自治体と協議の上で決定する。
 
 中川雅治環境相は15日の会見で「4島が世界遺産登録の可能性を有していると明確に確認できた」と強調し、早期の登録を目指す考えを改めて示した。県の大浜浩志環境部長は「国が分析した上で方針が決まるものと思っている」と述べるにとどめた。

 IUCNは4日に勧告の概要を発表。勧告は「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階中、下から2番目の「登録延期」とした。推薦書を抜本的に見直す必要があり、登録まで少なくとも2年間を要する見込み。