15日午前10時半すぎ、沖縄県の浦添総合病院の正面玄関。しっかりとした足取りで現れた翁長雄志知事は主治医らと固く握手し、集まった多くの報道陣と向き合った。膵臓(すいぞう)の腫瘍が見つかり、浦添市内の病院に入院してから41日。時折、笑みを浮かべ「体力をしっかり回復して一日も早く公務復帰し、任された責任を全うしたい」と順調に回復していることをアピールし、公務復帰を宣言した。関係者によると、流動食をとり、食事制限も続めため、入院前より痩せた印象も与えた。
午後1時半から県庁で始まった知事の記者会見。病院から直行し、登庁した知事は、深く一礼して会見場へ入った。「先月から県民の皆さまにご心配をお掛けしている」と、冒頭、県民に向けて言葉を発した後、病理検査の結果がステージ2の「膵がん」だと初めて公表した。那覇市長時代に胃がんで胃の全摘手術を受けたことを引き合いに出し「冷静に受け止めながら、治療に全力を傾けていきたい」と表情を変えずに淡々と質問に答えた。だが、たびたび口に水を運び、所々で声もかすれていた。
県側から指定された会見時間は、わずか10分。会見場を埋め尽くした記者からは検査結果や病状、今後の政治活動など畳みかけるように質問が飛んだ。これに対し知事が「多すぎて分からない」と質問を遮り、両脇に座った富川盛武、謝花喜一郎両副知事に質問の内容を確認する場面もあった。予定の約10分で切り上げ、足早に知事室へと戻った。