クジラ救出、再び大海へ 名護、美ら海職員や発見者 奮闘6時間


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海岸に打ち上げられたコビレゴンドウクジラの呼吸を確保するため体を動かす沖縄美ら島財団の職員や第一発見者ら=19日午前9時45分ごろ、名護市の海岸

 【名護】大きなクジラの救出劇―。名護湾に19日、体長約4・85メートルのコビレゴンドウが打ち上げられた状態で見つかり、第一発見者や沖縄美ら島財団の職員らにより、元気な状態で沖に放たれた。発見から約6時間を経て、元気に大海原へ泳いでいった。

 午前8時半ごろ、国道58号を北上していた名護市の大城徹さん(44)が海の中で黒く動くものに気付いた。「人が溺れてるのかなと思って近づいたら、クジラの尾びれだった」と話す。クジラは苦しそうに目を閉じながら、尾びれや背びれを動かして潮を吹いていた。傷があり、血が海に広がっていた。
 9時45分ごろ、現場に到着した沖縄美ら島財団動物管理チームの比嘉克さんと大城さんらが、力を合わせてクジラの体勢を整えた。「もっと頑張れ」「力入れて」とクジラに声をかけながら、波に合わせてクジラの体を動かし、クジラの気道を確保した。
 比嘉さんはその後、数時間水中でクジラの体を支え続けた。発見当初、早かったクジラの呼吸は徐々に正常に戻っていった。沖縄美ら島財団動物研究室の小林望実研究員は「クジラは体重が重く、干上がってしまうと内蔵に負担がかかり自力では戻れない。水の中に戻したことで呼吸が正常化した」と話す。
 午後2時すぎ、地元の漁師らが船を出し、名護湾の沖合まで連れて行ってクジラを放した。第一発見者の大城さんは「元気になって無事に帰ってくれてうれしい」と話した。

英文へ→Whale returned to the sea in Nago after six-hour rescue effort by discoverer and Churashima Foundation employees