平和、自然 残したい 吉川さん語り部育成へ心血


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渡嘉敷島の沖縄戦や、自然、文化、歴史を説明する吉川さん(左)=16日、渡嘉敷村の白玉之塔

 【渡嘉敷】元渡嘉敷村教育委員長の吉川嘉勝さん(80)=村渡嘉敷=は渡嘉敷島の沖縄戦や自然、文化、歴史についての「渡嘉敷島ガイド」「平和語り部」などの後継者育成に向けたボランティア活動をしている。16日には同村の中村めぐ美さん(36)=アロハレンタ企画=ら4人の研修指導のため島内の史跡、戦跡碑などを案内した。

 中村さんらは、戦跡碑の「白玉之塔」「集団自決跡地」「旧日本軍赤松隊本部防空壕跡地」や史跡「赤間山立火所跡」(烽火台・ヒータティヤー)などを訪れ、吉川さんの説明に熱心に耳を傾けながらメモを取っていた。

 特に吉川さんは、自身が6歳の時に体験した「集団自決」(強制集団死)の現場で、当時の様子を詳しく語り、研修生は島の悲劇を語り継いでいく決意を新たにした。

 岐阜県出身の中村さんは「島のことをたくさん学び、村外から訪れる皆さんに島をアピールしたい」と話した。

 吉川さんは、那覇市内の中学校校長を定年退職後、生まれ故郷の渡嘉敷村に戻った。村の各種委員を務めながら、自らの戦争体験「集団自決」の語り部や、平和ガイド活動などを行うほか、島の自然と村の歴史、文化などをまとめた文献資料も作成して提供している。

 吉川さんは「島の戦前、戦時中、戦後を知る世代が高齢化している。若い世代がわが島のことを多く学び語り継いでほしい」と願いを込めた。
 (米田英明通信員)