世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、環境省が国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を取り下げ、今年の登録を断念する方向で検討に入ったことについて、沖縄県内4候補地の町村長や関係者からは「残念」としながらも「前向きに捉える」などの声が上がった。
大宜味村の宮城功光村長は「残念ではあるが、準備不足という事実は否めない。取り下げをいい機会と受け止め、登録に向け態勢を整えたい」と前向きな姿勢を見せた。また「登録後に受け入れ態勢を整備するのは難しい。ちょうどこの1年くらいで方向性が見えてくると思う」とし、今後は国際自然保護連合(IUCN)に指摘された課題を解決するために「3村で協議を進めていく」とした。
東村観光推進協議会の小田晃久事務局長は「取り下げは想定内。前向きに捉えるしかない」と話した。候補地が国立公園であるとした上で「地元としては、国立公園の活用と保全に今後も努める。環境省には今後も世界自然遺産登録に取り組んでほしい」と求めた。
ユネスコの諮問機関IUCNが「登録延期」を勧告したことを受け、中川雅治環境相は、9日の記者会見で取り下げの可能性について言及していた。国頭村辺戸区の区長で、ガイドや自然保護活動に取り組む平良太さんは「勧告後、地元は6月の推薦が見送られることも覚悟していた」と話す。安須森御嶽など貴重な自然が多く残っていることを挙げ、「守るべき自然環境があることには変わりない。次の登録に期待しながら、自然保護に取り組む」と話した。
竹富町の西大舛高旬町長は「環境省から聞いていないのでコメントできない」と述べるにとどめた。