地元無視し危険訓練 伊江村民「まるで戦争」 米軍車両投下


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 【伊江】沖縄県伊江村の中止要請を受けながらも米軍が強行した伊江島補助飛行場でのパラシュート降下訓練。同飛行場での訓練では、過去に提供区域外に重量物が落下した例もある。当日夕刻には、オスプレイから兵士がパラシュートで降下する様子も目撃されており、村民からは「まるで戦争状態だ」と怒りの声が上がった。

 訓練を目撃した複数の村民によると、米軍のC130と見られる機体は、午前10時半ごろから同飛行場の北側から進入。ごう音をとどろかせながら千メートル以下の低空を飛行した。訓練の様子を、飛行場から約700メートル離れた真謝区公民館から目撃した平安山良尚区長は「それほど高くはない」と証言する。

 車両は上空で、開かれていた機体後部のカーゴドアから投下された。物資には小型と大型のパラシュートが取り付けられていた。パラシュートで投下された物資は、飛行場滑走路を目隠しするようにフェンス内に生い茂る木々の向こうに消えた。その後、機体からは2回に分けて兵士が降下する様子も見られたという。

 平安山区長は「この日はオスプレイから兵士が降下する様子も確認できた。まるで戦争さながらの訓練だ」と語気を強めた。

 兵士が降下する様子を西崎区で農作業中に目撃した50代女性は、兵士がフェンス内に降りるよう、祈るように見届けたという。この女性は「村を通して中止を申し入れているのに、降下訓練が繰り返されるのは残念だ」と声を落とした。

 伊江島では、過去にも米軍の降下訓練中にフェンス外に物資や兵士が落下する事故が起きている。2014年にはパラシュートで投下されたドラム缶4本(計800キロ)が目的地点を外れフェンス外にある建設工事現場に落下している。また、ことし4月3日には、パラシュート降下訓練をしていた米兵が民家から約50メートルの農地にパラシュートを落下させた。