「返還交渉人」公開へ 来月末に東京 NHKドラマ映画化 吉田妙子、平良進ら出演


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NHKスペシャルドラマ「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」の劇場版のワンシーン。米政府の交渉相手と向き合う千葉一夫(井浦新)ⓒNHK

 【東京】1972年の沖縄返還に向けた日米交渉に携わった外交官千葉一夫氏を描いたNHKのスペシャルドラマ「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」の劇場版が完成し、6月30日から東京都内のポレポレ東中野で公開される。沖縄でも7月7日から那覇市の桜坂劇場で上映されるほか、全国でも順次公開される。

 ドラマは、膨大な外交記録や当時の官邸資料などを読み込み、さらに遺族や同僚、部下、交渉相手など関係者の証言も集めた原案が基になっている。沖縄返還の日米交渉に担当課長として携わった千葉さんは、第2次世界大戦時の日本兵としての自身の体験から「沖縄を取り戻したい」との思いを胸に入省した。返還交渉で米側はもちろん省内でもやり合う様子を描いている。

 千葉さん役には俳優の井浦新、妻恵子さん役には戸田菜穂がキャストされている。県内からも吉田妙子、平良進、津波信一らが出演している。

 テレビドラマは昨年8月の放送。映画版は、テレビ版にある時間の制約にとらわれず、使用しなかった映像も多数盛り込まれており、ラストカットも変わっている「ディレクターズカット版」となっている。

 原案を書いたNHKの宮川徹志ディレクターは「千葉さんの人間の魅力を描くにはドラマの形式が合っていると考えた。最後まで諦めずに交渉を続けた千葉さんの姿勢は、今の本土と沖縄の状況を考える上でも学ぶべきものはあると思う。当時は沖縄に思いを寄せた本土の人がまだ多数いたのではないか。そのことを今の人にも知ってほしい」と制作意図を話している。