「宝の海は沖縄の未来」 ゲート前で市民ら切々と訴え K4護岸ではブロック積む作業進む


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
新基地建設資材の搬入を止めようと米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込む市民を「排除」する警察官=6日午後0時19分ごろ、名護市辺野古

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸では、6日、晴れて気温が上がり時折小雨もぱらつく中、新基地建設工事は行われた。

午後1時までに埋め立て区域の南側を囲むK4護岸の工事では、2カ所で砕石を投下し、1カ所で護岸を覆うブロックを積む様子が確認された。

海上では船3隻、カヌー12艇に乗った市民らが建設を中止するよう訴えた。陸上でも建設資材の搬入を阻止するため、シュワブゲート前で市民らが座り込んだが、警察に「排除」され、二重の鉄柵の中で一時囲い込まれた。

米軍新基地建設に反対し、しまくとぅばで資材を搬入するダンプに「沖縄の未来をつぶすことだよ」と語り掛ける伊波義安さん=6日、名護市辺野古

 「ダンプのにーせーたー、うんじゅうちなーぬくとぅ、わらびーたんぬくとぅ考えれ、わったーうやふぁーうじが守てぃ宝ぬ海、つぶすことは沖縄の未来を奪うことになる、考えてきみそーれ」、しまくとぅばを交え、次々に基地内に入っていくダンプカーに訴えるのはうるま市の伊波義安さん。

 沖縄戦から73年の間、米軍の事件事故で人権や命が脅かされてきたこと、戦後この場所にあった収容所で300人余りが亡くなった歴史を説明し、「心は痛くないか。もうアメリカの基地を作らすのはやめよう。一緒に反対していこうよ」と運転手に向け、穏やかに語り掛ける。

新基地建設の護岸工事が進む=6日午前8時半ごろ、名護市辺野古米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 新基地建設に反対する市民のテントではカンカラ三線で奏でられる「ちんぬくじゅうしい」を聞き、和む一幕もあった。カナダやイギリスなど海外からの賛同者も参加した。この日は、イギリス・ウェールズのアベリストウィス大学に通うラファエル・カヴァリーニさん(21)は「自分が生きている間に米軍基地と帝国主義がなくなり、世界中が幸せになるのを願っている。一緒に頑張りましょう」とあいさつすると拍手が起こった。

新基地建設に反対する市民の前で「一緒に頑張りましょう」と話すイギリス人青年のラファエル・カヴァリーニさん(左)とイギリスの大学で地位協定を研究する尾池花菜さん=6日午前11時14分、名護市辺野古

 カヴァリーニさんと一緒に訪れた同じ大学の大学院に通う群馬県出身の尾池花菜さん(25)は、東村高江の米軍ヘリ炎上事故をきっかけに地位協定の研究を始めたといい、「地位協定は植民地政策を進めるためにできたもので、それに合意していることはその政策を認めていること。日本の問題であり、日本人としてどう関わっていくか考えなくてはいけない」と話した。【琉球新報電子版】