「住宅地だったら」 また事故、住民に恐怖 「危険性 慣れてはいけぬ」  嘉手納F15墜落


この記事を書いた人 大森 茂夫
嘉手納基地を離陸するF15=11日午前6時22分、米軍嘉手納基地(安富智希撮影)

 【中部】「やっぱり危険なんだ」「住宅地に落ちていたら…」―。11日早朝、沖縄本島の南海上で起きた米軍嘉手納基地所属F15戦闘機の墜落事故。基地周辺で暮らす住民らは、改めて危険と隣り合わせにあることを思い知らされた。米軍機が爆音を響かせ、頭上を飛ぶ中で生活する「いつも通り」の日常も、繰り返される事故が不安と恐怖をかき立てる。事故の残した重苦しい雰囲気が基地周辺の地域を覆った。

 嘉手納町屋良に住む女性(69)は「いつも飛んでいるから、大丈夫だと思っているけど、やっぱり危険なんだと再認識した」と事故を報じるテレビ番組に目をやった。女性は幼いころに米軍の給油機が屋良地区に墜落した事故のことを覚えている。「(墜落時は)爆弾が爆発したような音が鳴った。米軍機はどこに落ちるか分からない。事故が起こるたびに心配になる」と顔をしかめた。

 午前6時ごろ、嘉手納町南区の女性(84)は嘉手納基地からF15が飛び立つ音を聞いた。「あれが那覇に落ちていたらと思うと怖くなる」と眉間にしわを寄せた。「(北朝鮮が)核実験を強行したときには、いつか嘉手納が攻撃の対象になるのではないかと怖くなる」と話す声は震える。「子どもたちが気の毒だ。孫の顔を見ると、この子たちが大人になるまでに戦争や基地のない平和な世の中になるかな」と不安げな表情を見せた。

 「私たちが住んでいる場所には毎日危険があるので、慣れてしまっている現実がある」と話すのは、北谷町砂辺に住む照屋宥芯さん(52)。「事故が実際起こる度に危険についての感覚が鈍くなっていると思い知らされる。子どもたちを守るためにも慣れてはいけない」と強調した。

 米軍機が頭上を通過する沖縄市知花自治会の宇良敢(つよし)会長(57)は、死者が出なかったことにほっとした様子の一方で「住宅地に落ちていたら…」と険しい表情を浮かべた。墜落の知らせはニュースで知った。「自治会にも一報があればいいが、何の連絡もない」とため息交じりに話した。