<解説>
80日余り続いた沖縄県内のはしか流行の終息が宣言された。感染が広がり始めた4月上旬、県は発生時対応ガイドラインに基づき発生状況を最高のレベル3に引き上げて対応に当たり、「患者が99人で踏みとどまった」(県保健医療部)と言える。ただ、たった一人の外国人観光客から急速に感染が広がった事態から、多くの旅行客を受け入れる体制の課題が浮き彫りになった。
はしかはかかってしまうと特効薬がなく、十分な免疫を付けるにはワクチン接種が重要となる。2回のワクチン接種者が95%以上になると、ウイルスが持ち込まれても流行しないと言われている。
だが、公的な制度として2回受ける機会があったのは1990年4月2日生まれからだ。今回の流行も20~40代の患者が約7割を占める。
県と市町村は6~12カ月未満の乳児への予防接種を公費負担した。県によると、4月末時点で対象者の約4割が接種したほか、定期予防接種の接種率も前年同期より上がっているという。
終息宣言をした11日、県保健医療部の砂川靖部長は「組織、社会全体での取り組みが必要だ」と訴えた。外国人観光客は年々増加しており、はしかウイルスが入ってくる可能性は尽きない。県民一人一人が意識し、接種率を高めていく必要がある。
(前森智香子)